〘副〙 (代名詞「いつ」に助詞「か」の付いてできた語)
① 未来および過去の事がらに関して、それがどの時点であるかはっきりしないことを表わす。また、反語を表わす場合もある。いつ…した(…する)であろうか(いや、そんなことはない)。
※万葉(8C後)一四・三四四一「ま遠くの雲居に見ゆる妹が家(へ)に伊都可(イツカ)到らむ歩め吾(あ)が駒」
※宇治拾遺(1221頃)一〇「いつかさる者候ひつる」
② 物事の変化の起こる、または、起こった時の不明なことを表わす。気がつかないうちに。いつのまに。いつしか。
※伊勢物語(10C前)八一「塩釜にいつか来にけむ朝なぎに釣する舟はここに寄らなむ」
③ 未来の不定な時を表わす。遅かれ早かれ。いずれそのうち。早晩。〔観智院本名義抄(1241)〕
※車屋本謡曲・元服曾我(室町中)「うつを限の秋ごろも、恨みをいつか晴らさむ」
※即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉歌女「その夢は早晩(イツカ)醒むべし」
④ (「いつかも」「いつかの」などの形でも用いられる) 過去の不定な時を表わす。どういう時点であったか。いつぞや。
※門三味線(1895)〈斎藤緑雨〉「過日(イツカ)も路に八百屋の荷が転覆(ひっくりかへ)りて」
※婦系図(1907)〈泉鏡花〉前「だって、主税さん、先年(イツカ)私の誕生日に」