精選版 日本国語大辞典 「気持」の意味・読み・例文・類語
き‐もち【気持】
〘名〙
① 物事に接して、それに対して感じた心の状態。心のあり方。感情。気分。物事に対してどのように感じているかという心の状態や、心のおかれている状態、物事に対する心のもち方などについていう。〔文明本節用集(室町中)〕
※歌舞伎・お染久松色読販(1813)序幕「手前が爰でいちゃつくを見て、身も気持を悪ふ致したわいの」
② からだの状態についての感じ。気分。
※人情本・春色辰巳園(1833‐35)四「今夜はおまへのお蔭で大そうに気持(キモチ)がよいから、呑で見たひヨ」
③ (副詞的に用いて) すこし。ほんのわずか。「気持、右へ寄せて下さい」
※火の柱(1904)〈木下尚江〉三「気持ち背丈が低くて在(い)らしったように思ひますがネ」
[語誌](1)類義の「心持(こころもち)」は一三世紀末に使われ始めたと見られるが、「気持」は遅れて一五世紀末に見え始める。
(2)「心持」は元来、心の持ち方ということで、「気だて」「心がまえ」などの意で使われたが、江戸時代中期以降、物事に際して感じた心の状態の意が主になってからは「心地」の俗語的な表現として会話文に多用されるようになった。
(3)「気持」は、感覚的な心の状態の意であるが、「心持」の主な意味が変わったため、江戸中期以降、類義となり、「心持」より俗語的な感じで使われた。
(4)明治期には「心持」が日常語となって多用されたが、「気持」は俗な感じが強かったため、用例は少ない。
(5)大正期になると「気持」の俗な感じが少し薄れて「心持」と併用されるようになるが、やや改まった場合は「心持」の方が使われた。
(6)昭和期では「気持」が圧倒的に優勢になり、特に第二次世界大戦後は「心持」の使用が大きく減って、現在では若い人の間ではほとんど使われなくなっている。
(2)「心持」は元来、心の持ち方ということで、「気だて」「心がまえ」などの意で使われたが、江戸時代中期以降、物事に際して感じた心の状態の意が主になってからは「心地」の俗語的な表現として会話文に多用されるようになった。
(3)「気持」は、感覚的な心の状態の意であるが、「心持」の主な意味が変わったため、江戸中期以降、類義となり、「心持」より俗語的な感じで使われた。
(4)明治期には「心持」が日常語となって多用されたが、「気持」は俗な感じが強かったため、用例は少ない。
(5)大正期になると「気持」の俗な感じが少し薄れて「心持」と併用されるようになるが、やや改まった場合は「心持」の方が使われた。
(6)昭和期では「気持」が圧倒的に優勢になり、特に第二次世界大戦後は「心持」の使用が大きく減って、現在では若い人の間ではほとんど使われなくなっている。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報