精選版 日本国語大辞典 「並」の意味・読み・例文・類語
なみ【並】
[1] (動詞「なむ(並)」の連用形の名詞化)
① 並ぶこと。また、並んだもの。ならび。〔名語記(1275)〕
② 同類であること。同程度であること。ひとしなみ。
※万葉(8C後)七・一三三一「磐たたみかしこき山と知りつつも吾れは恋ふるか同等(なみ)ならなくに」
③ (「…のなみ」の形で) その類に共通すること。その類で一般であること。
※大鏡(12C前)四「入道殿下の猶すぐれさせ給へる威のいみじきに侍るめり。老のなみに、いひすぐしもぞし侍る」
④ (形動) 良くも悪くもないさま。普通、一般、ひととおりであるさま。また、それより上等なものと比べて劣っているさま。また、そういうもの。
※万葉(8C後)五・八五八「若鮎釣る松浦の川の川波の奈美(ナミ)にし思はばわれ恋ひめやも」
※門(1910)〈夏目漱石〉八「牛肉は普通(ナミ)が一人前四銭で、ロースは六銭であった」
⑤ 疱瘡(ほうそう)のでそろいをさしていう。
※歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語(1770)四「初手は並(ナミ)が悪かったによって案じましたが、此間は並(ナミ)もよし、いっそ軽うしまへばよう御座りますがな」
[2] 〘語素〙
① 名詞に付いて、それが並んでいること、いくつも重なっていることを表わす。「歯なみ」「家なみ」など。
② 名詞に付いて、その物ごとに、それを単位としてそれごとに、同じ事柄が続くことを表わす。「月なみ」「日なみ」「軒なみ」など。
③ 名詞に付いて、その類と同じ、あるいは同じ程度であることを表わす。「例年なみ」「犬猫なみ」「十人なみ」「世間なみ」など。
な・む【並】
[1] 〘自マ四〙 ならぶ。つらなる。
※万葉(8C後)二〇・四三七五「松の木(け)の奈美(ナミ)たる見れば家人(いはびと)の我を見送ると立たりしもころ」
[2] 〘他マ四〙 ならべる。つらねる。
[3] 〘他マ下二〙 (二)に同じ。
※古事記(712)中・歌謡「楯那米(ナメ)て 伊那佐の山の 木の間よも い行き目守らひ 戦へば」
な・ぶ【並】
〘他バ下二〙 ならべる。つらねる。
※古事記(712)中「日日(かが)那倍(ナベ)て夜には九夜(ここのよ)日には十日を」
[補注]「なべて」「なべての」の形で用いられることが多い。→なべて(並━)
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