精選版 日本国語大辞典 「家人」の意味・読み・例文・類語
け‐にん【家人】
いえ‐びと いへ‥【家人】
か‐じん【家人】
いわ‐びと いは‥【家人】
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日本古代の家人の語には三つの用法がある。第一は家内の人という意味での用法で、良民である。第二の用法は、唐律令(りつれい)に部曲とあるのを、日本では部民(べみん)に部曲(かきべ)の語を使用したために律令(りつりょう)では家人と改めたもので、五色の賤(せん)の一つ。家人は、官戸(かんこ)と同様に家族をなし、家業をもち、家族全員が同時に使役されることはなく、売買されず、私奴婢(しぬひ)より上級の身分であった。ただし、婚姻は家人同士でしか認められず、姓もなかった。口分田(くぶんでん)は私奴婢と同じく良民の3分の1を給された。この家人の例は、寺の家人が法隆寺、筑前(ちくぜん)観世音(かんぜおん)寺にみえる程度で、一般の戸籍などにはみえない。家族的結合をもつ私有賤民(せんみん)はほとんど私奴婢とされ、家人身分の賤民は一般には存在しなかったらしい。第三の用法は、第一の家人の概念から発展したもので、貴族の私的隷従者を示す用法で、9世紀後半以降に多くみられるようになる。これが中世の家人概念の前身である。
[石上英一]
『井上光貞他編『律令』(1976・岩波書店)』
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…《貞丈雑記》に五摂家より分かれた公家衆や軽輩の公家衆で宮廷の儀式作法を習うため摂家に出入りする者を家礼と呼んだとあるが,やはりその家に依頼し,礼をつくしたからであろう。《吾妻鏡》1180年(治承4)の記事に〈源氏の人々は家礼とするのも憚るべきなのに服仕の家人として取り扱うのは以ての外のことだ〉とある。家礼と服仕の家人を対比させて用いていることから,はじめ家礼は家人(けにん)より服属度のゆるい従者を意味したものか。…
…幕府の首長としての将軍と主従関係を結んだ武士身分の者をいう。平安時代,貴顕の家に隷属した従者を家人とよんだが,武門の棟梁である源氏や平家の従者についてもその称呼が用いられ,時に敬称として御の字が付された。鎌倉幕府成立後,将軍の家人も敬称として鎌倉殿の御家人,関東御家人などとよばれ,後には身分の称呼として固定化した。…
…7世紀までの賤民の形成は,(1)犯罪による没身(賤民にすること),(2)人身売買・債務による奴隷化,(3)捕虜の賤民化,(4)手工業者などの賤民化,(5)王族・豪族・寺社の隷属民の賤民化,などにより進行していた。養老令の戸令は,官有賤民として陵墓を保守する陵戸(りようこ)(陵戸・守戸),朝廷で労役に従う官戸(かんこ)と公奴婢(ぬひ)(官奴婢),私有賤民として家人(けにん)と私奴婢の合わせて5種の賤民の身分を定めた(陵戸は大宝令では賤民ではなかったとの説もある)。陵戸は奴隷ではないが,官戸,公奴婢,家人,私奴婢は奴隷であった。…
…1863年南北戦争の最中にリンカン大統領は奴隷解放宣言を出したが,実際に奴隷が解放されたのは65年に戦争が終わったときであり,同年の憲法第13修正で明文化された。【猿谷 要】
【日本】
日本古代の奴隷は,すでに《魏志倭人伝》に生口(せいこう)の記述が見られるので3世紀ころから存在したが,7世紀後半から8世紀にかけて律令法の定める官戸(かんこ),官奴婢(ぬひ)(私奴婢),家人(けにん),私奴婢などの賤民(せんみん)の身分に編成された。奴隷は,犯罪,人身売買,債務,捕虜などにより生じたが,律令法により人身売買や債務により良民を賤民すなわち奴隷とすることは禁止され,奴隷の供給は生益と犯罪に限定された。…
…男性を奴(やつこ),女性を婢(めやつこ)と称する。律令制以前には奴隷的な賤民を一括して奴婢と称したが,大宝令(戸令)では,私有奴婢は私奴婢と家人(けにん)(家族を成し家業を有し売買されない上級賤民)に,官有奴婢は官奴婢(公奴婢とも)と官戸(かんこ)(家人とほぼ同じ身分)に分化した。奴婢は所有者により資財と同じに物として扱われ,相続・贈与や売買・質入れの対象とされた。…
…百姓,公民,良民と同様な意味で用いられた身分呼称であった。《令義解(りようのぎげ)》で〈家人(けにん),奴婢(ぬひ)〉について〈すでに平民に非ず〉といわれているように,賤民である家人や奴婢は平民身分から除外された。また公民の籍帳から外れた浮浪人も平民とはみなされなかったが,浮浪帳に編付され調庸を負担している浮浪人は,弘仁年間(810‐824)の太政官符により水旱不熟の年には平民に準じて調庸が免除されることになった。…
…家士(かし),家人(けにん)などと訳され,国王,諸侯などの家に属する非自由人でありながら,その職務上社会的影響力を得て特別な身分を形成した者をいい,ディーンストマンDienstmannとも呼ばれる。ラテン語ではミニステリアリスministerialis。…
…良賤間の通婚は禁ぜられ,その所生子は原則として賤とされる定めであった(良賤法)。養老令の規定では,賤民に陵戸(りようこ),官戸(かんこ),家人(けにん),官奴婢(ぬひ)(公奴婢),私奴婢の5種があり(五色の賤),それぞれ同一身分内部で婚姻しなければならないという当色婚の制度が定められていたが,このうち陵戸は大宝令では雑戸(ざつこ)の一種としてまだ賤とはされていなかった可能性が強い。雑戸は品部(しなべ)とともに前代の部民(べみん)の一部が律令制下になお再編・存続させられ,それぞれ特定の官司に隷属して特殊な労役に従事させられたもので,そのため身分上は良民でありながら,社会的に一般公民とは異なる卑賤な存在として意識された。…
※「家人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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