(読み)ゾク

デジタル大辞泉 「俗」の意味・読み・例文・類語

ぞく【俗】

[名・形動]
世のならわし。その土地時代風俗習慣。「ってはに従え」
世間一般。民間。「受け」
「―では水戸の御隠居様という」〈福沢福翁自伝
民間で普通に行われること。ありふれていること。また、そのさま。「に言う」「なやり方」
高尚でないこと。いやしいこと。また、そのさま。「趣味」「な人間」
出家していないこと。また、その人。「かえる」「の身」
[類語](3平凡ありきたり凡俗ありふれる普通一般一般的尋常通常平常通例標準標準的平均的つねただ当たり前常並み世間並み十人並み月並み凡庸日常茶飯日常茶飯事平平凡凡常套決まりお定まり平板類型的紋切り型芸がないノーマルレギュラースタンダード/(4下劣低俗俗悪卑俗野卑通俗俗っぽいくだらないげす

ぞく【俗】[漢字項目]

常用漢字] [音]ゾク(呉)
世間の習わし。「異俗旧俗習俗土俗風俗民俗良俗
世間一般。「俗語俗事俗字俗説俗務雅俗脱俗超俗通俗凡俗
無風流で卑しい。「俗悪俗臭俗物俗吏低俗卑俗俚俗りぞく
出家をしていない世間の人。「俗名還俗げんぞく在俗僧俗道俗
[名のり]みち・よ

しょく【俗】

[名・形動ナリ]ぞく(俗)」に同じ。
「姿悪くは、いづれも―なるべし」〈花鏡

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「俗」の意味・読み・例文・類語

ぞく【俗】

〘名〙
① 世のならわし。また、その土地の習慣。あるいは、時代の風俗。習俗。風習
※続日本紀‐天平宝字元年(757)八月己亥「勅曰〈略〉移風易俗、莫於楽
徒然草(1331頃)一六五「すべて我が俗にあらずして人に交はれる、見苦し」 〔易経‐漸卦〕
② 世間一般。世俗。俗世間。また、出家していない人。世間一般の人。俗人。
※続日本紀‐宝亀一一年(780)正月丙戌「緇侶行事与俗不別」
太平記(14C後)四「古来より俗の諺曰、会稽の恥を雪(きよ)むる」
③ (形動) ごくありふれたこと。通俗的であること。また、そのさま。平凡。凡庸(ぼんよう)。あるいは、いやしく下品であること。卑近なこと。風流ではないこと。また、そのさま。
古今(905‐914)真名序「文琳巧詠物。然其躰近俗。如賈人之着鮮衣
無名抄(1211頃)「このころ様を好む人は、中ころの躰をば『俗にちかし、見所なし』と嫌ふ」 〔戦国策‐斉策・襄王〕

しょく【俗】

〘名〙 (「しょく」は「俗」の漢音) 風雅でなくありふれていること。いやしいこと。また、そのような人。
※高野本平家(13C前)三「耳を信じて目を疑ふは俗(ジョク)の常のへい也」
※花鏡(1424)幽玄之入事「姿わるくは、いづれもしょくなるべし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【雅俗】より

…〈雅〉と〈俗〉とは相対立する概念。日本でもひろく用いられるが,中国では時代による意味の変化がみられる。…

※「俗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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