月並(読み)ツキナミ

デジタル大辞泉 「月並」の意味・読み・例文・類語

つき‐なみ【月並(み)/月次】

[名]
毎月きまって行われること。月に一度ずつあること。毎月。月ごと。「―の会」
月並俳句」の略。
月次の祭」の略。
十二の月の順序。月の移り変わり。「なみ」を「波」に掛けて、歌語として用いられる。
「水のおもに照る―を数ふれば今宵ぞ秋のもなかなりける」〈拾遺・秋〉
[名・形動]新鮮みがなく、ありふれていて平凡なこと。また、そのさま。「―な表現」「発想が―だ」
「そんな―を食いにわざわざここ迄来やしないと」〈漱石吾輩は猫である
[類語]()(1月例月次/(凡庸平凡ありきたり凡俗ありふれる普通一般一般的尋常通常平常通例標準標準的平均的つねただ当たり前常並み世間並み十人並み日常茶飯日常茶飯事平平凡凡常套決まりお定まり平板類型的紋切り型芸がないノーマルレギュラースタンダード

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精選版 日本国語大辞典 「月並」の意味・読み・例文・類語

つき‐ならび【月並】

〘名〙 先月、今月、翌月というように、次々と物事が続いて起こること。
※栄花(1028‐92頃)衣の珠「入道殿の、院の女御・尚侍と月ならびに失ひ奉り給へりし

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改訂新版 世界大百科事典 「月並」の意味・わかりやすい解説

月並 (つきなみ)

月次,月浪とも書き,月例の意。古くから月々催す各種の会や行事があり,文学においても月並の漢詩和歌連歌の会が催されていた。月並の俳諧はそれを受けついだものにほかならないが,性格に多少の変化が生じていた。月並の歌会などは,本来,その修練の場,つまり勉強会ということに意味があったと思われる。ところが俳諧の場合は,素人衆の高級なことば遊びのために提供された場としての性格が濃く,俳諧の宗匠はそこからの収入をあてにしていたと考えられる。俳諧のジャンルで月並の語が一般化するのは,18世紀中ごろに生まれた月並句合(くあわせ)である。この発生については不明の部分が多いが,京の嘯山(しようざん)や蕪村一派によって行われだしたものと思われる。ある題のもとに多くの作者が投句して,それを撰者が選ぶというものだが,これも当初は,俳諧の練習の意味あいが強かった。それが,19世紀初頭の文化文政期ころから大坂,江戸で大流行し,主催者側からは投句料を目あての資金かせぎ,作者側からは景品目あての遊戯的色彩を強くする。なお,明治期の子規が〈月並調〉と言って批判したのは,月並句合そのものではなく,漠然と旧時代の俳句の陳腐さをさしたものであった。
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