精選版 日本国語大辞典 「服」の意味・読み・例文・類語
ふく‐・する【服】
[1] 〘自サ変〙 ふく・す 〘自サ変〙
① あきらめて、または得心して従う。服従する。承服する。心服する。
※平治(1220頃か)中「千万の傍敵ありといふとも、おのづから服せしむべし」
② ある仕事につく。従事する。
※民法(明治二九年)(1896)六二三条「雇傭は当事者の一方が相手方に対して労務に服することを約し」
③ (「ぶくする」とも) 喪(も)にこもる。喪に服する。
※赤染衛門集(11C中)「娘のなくなりたりしふくすとて」
④ おびる。持っている。
※咄本・喜美賀楽寿(1777)せんだん「まづと、御熱もふくしております。悪寒はござりませんか」
[2] 〘他サ変〙 ふく・す 〘他サ変〙
① したがわせる。屈伏させる。服従させる。
※史記抄(1477)七「況や始皇は威を以て天下を服したほどに」
② 身につける。着る。
※正法眼蔵(1231‐53)袈裟功徳「先王の法服にあらざれば服せずと」
③ (「ぶくする」とも) 茶、薬などを飲む。服用する。また、物を食う。
※源氏(1001‐14頃)帚木「極熱(ごくねち)の草薬をふくして、いとくさきによりなむ」
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)六「あやまりて毒薬を服(ブク)せり」
ふく【服】
[1] 〘名〙
※続日本紀‐神亀五年(728)正月甲寅「於レ是高斉徳等八人並授二正六位上一。賜二当色服一」
※今昔(1120頃か)五「草を以て服とし、菓を拾て食とせり」 〔春秋左伝‐僖公二四年〕
② (和服を着物というのに対していう) 「ようふく(洋服)」の略。
※妹と背かゞみ(1886)〈坪内逍遙〉一六「今日は御出勤になりますか。服をだしませうか」
[2] 〘接尾〙 (「服」は飲む意。上にくる語によって「ぷく」となる)
① 茶・薬・煙草などの、飲む回数を数えるのに用いる語。
※太平記(14C後)三六「道誉又我宿所に七所を粧(かざっ)て、七番菜(さい)を調へ、七百種の課物(かけもの)を積み、七十服の本非の茶を呑べき由を申て」
[補注]「服」の音は古く「ぶく」で、喪服あるいは喪に服することについては、後世でも「ぶく」と慣用される。→ぶく(服)
ふく‐・す【服】
[1] 〘自他サ変〙 ⇒ふくする(服)
[2] 〘自サ五(四)〙 ((一)から転じたもの) 従う。服従する。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一七「扨其次の議論の如きは、僕ア決して服(フク)さないヨ」
[3] 〘他サ五(四)〙 ((一)から転じたもの) 薬や茶などを飲む。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉九「きつけぐすりを取いだし〈略〉両人にふくさするに」
ぶく【服】
〘名〙
① 喪中の人が着るきもの。もぎぬ。喪服。服衣(ぶくえ)。
※続日本紀‐天応元年(781)一二月丁未「太上天皇崩。〈略〉冝二天下著レ服六月乃釈一」
② 喪にこもること。また、その期間。喪中。服喪。
※続日本紀‐宝亀元年(770)八月乙未「天下挙哀。服限二一年一」
※貫之集(945頃)九「諒闇のあひだにははのぶくになりて」
ぶく‐・す【服】
〘自他サ変〙 ⇒ふくする(服)
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