着物【きもの】
洋服に対して和服を総称することもあるが,一般には羽織,襦袢(じゅばん),コートを除いた長着をさす。着物型の衣服が成立したのは奈良時代といわれる。平安末期までは下着として着ていた小袖(こそで)が,鎌倉時代になると上の衣服が省略されて表着として用いられるようになった。室町時代には男女ともに着用していた袴(はかま)も省略され,小袖の着流しとなった。現在の着物は小袖から基本的には変わっていない。着物は袖,身ごろ,衽(おくみ),衿(えり),掛衿(共衿)からなり,袖,身ごろは前後が続いた輪裁ちで,左右対称となっている。女物は身丈を着丈より20cmくらい長く仕立て,帯の下でたくしあげて着る。季節によって単(ひとえ),袷(あわせ),綿入れなどを着る。→着尺地
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きり‐もの【着物】
〘名〙 (「きりもん」とも) きもの。着るもの。衣服。→「
きるもの(着物)」の語誌。
※日葡辞書(1603‐04)「カイサマニ qirimonouo(キリモノヲ) キル」
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)六「アノおやまが、おとこのきりもん着て、はしったさかい」
き‐もん【着物】
〘名〙 「きもの(着物)」の変化した語。
※落語・湯屋番(1893)〈三代目三遊亭円遊〉「自分が着る着物(キモン)だって一人で勝手なのは着て行ないねへ」
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着物
きもの
人が着るものとして、衣服と同じ意味で使われることもあるが、和服を総称していうことが多い。
[編集部]
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デジタル大辞泉
「着物」の意味・読み・例文・類語
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きもの【着物】
〈着るもの〉という意味から,衣服と同義語として用いられることもあるが,洋服に対して在来の日本の着物,すなわち和服を総称することもある。しかし現在一般に着物という場合は,和服のなかでも羽織,襦袢(じゆばん),コートなどをのぞく,いわゆる長着(ながぎ)をさすことが多い。これは布地,紋様,染色に関係なく,前でかき合わせて1本の帯で留める一部式(ワンピース)のスタイルのもので,表着(うわぎ)として用いる。以下〈着物〉の語はおもに長着をさして使う。
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世界大百科事典内の着物の言及
【長着】より
…コートや羽織などの丈の短い和服に対し,いわゆる着物をさす。和服の基本である着物は室町時代末期の小袖の形式を受けつぎ今日に至るが,男物長着の方がその原形を残している。…
【服装】より
…古墳時代には豪族の間で朝鮮半島経由の北方系衣服が採用され,ついで飛鳥,奈良時代の貴族は新しく隋・唐風の様式を導入し,北方系ないし内陸地方の服装が行われることとなった。この影響で,従来の日本の南方系衣服に北方系の衣服形式が加わって融合し,日本独特の着物の萌芽が見られた。すなわち,布の織幅が狭く,二幅仕立てとした貫頭衣の前部をほどき,前落しの部分を襟としたものや,それに袖をつけたり,さらに衽(おくみ)をつけた着物の発生である。…
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