被服(読み)ひふく

精選版 日本国語大辞典 「被服」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ふく【被服】

〘名〙 衣服を着ること。また、その衣服。着物。
史記抄(1477)一九「被服のきるものをもいかんとえせぬ様に至て」 〔呂氏春秋‐士容論・士容〕

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デジタル大辞泉 「被服」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ふく【被服】

着るもの。着物。衣服。「被服費」
[類語]洋服和服ころも衣料品衣料衣服衣類着物着衣装束お召物衣装ドレス洋品アパレル略服ふだん着略装軽装着流しカジュアルよそゆき一張羅街着礼服式服フォーマルウエア礼装正装既製服レディーメード既製出来合い吊るしプレタポルテ注文服オーダーメード私服官服制服ユニホーム学生服軍服燕尾服喪服セーラー服水兵服背広スーツ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「被服」の意味・わかりやすい解説

被服
ひふく

人体を覆う目的の着装物の総称で、衣服のほかに被(かぶ)り物、履き物、手袋などが含まれる。被服の語は、古くは中国の古典にみられるが、日本では明治に、陸海軍の用語として使用されたのが最初であり、1890年(明治23)に陸軍被服廠(しょう)が設置されてから、一般に広まった。1949年(昭和24)に新制大学が発足したとき、家政学部に被服科が設置され、その後、高等学校の家庭科のなかにも被服の科目が設けられ、学校教育者の間では公的な用語として使われるようになった。

[辻ますみ]

被服の形式

基本形式として五つに分類される。〔1〕腰衣(ようい)形式 古代エジプトのロインクロスや未開人の腰紐(こしひも)など。〔2〕ドレーパリー形式 布を体に巻き付けて着用する方法で、ローマ時代のトガやインドのサリーなどにみられる。〔3〕ポンチョ形式(貫頭衣) 布の中央に穴をあけて頭を通す形式。〔4〕カフタン形式
 丈長の前あき形式で帯を伴うこともあり、中東諸国や日本にみられる。〔5〕チュニック形式 体型に裁断し縫製されたもので、現代服はほとんどこの形式である。

[辻ますみ]

被服の機能

〔1〕防護性、〔2〕象徴性、〔3〕装身性があげられる。〔1〕は気候に対する防寒性や防暑性、人体を外傷などから守る護身性などがある。〔2〕は身分階級職業性別などを表す社会的な機能をいう。そのほかに色や文様や着方が、生活感情や時代や社会を象徴する場合もある。以上のような用途的な機能や社会的機能のほかに、自己を表現するための装身の機能が〔3〕にあげられる。どんな衣装を身に着けようと、また〔1〕や〔2〕の制約が強かろうと、できる限り自己を美しく表現したいと願うのが人間である。装身の動機には、自己の価値を高くみせよう、また他人と違った個性を表そうとする場合と、それとは逆に、不安や恐れを克服するために、集団や社会に同調しようとする場合がある。装身の欲求から被服にデザインが求められ、新奇さを求めて流行現象が生まれてくる。

[辻ますみ]

繊維業界における被服

繊維製品素材別に、既製服、被服、布帛(ふはく)に大別されており、それぞれの工業組合がつくられて業界が区分されている。既製服の素材が羅紗(らしゃ)や毛織物であったのに対して、繊維業界での被服は厚地綿織物を素材とした外衣類をさす。製品としては作業服、学生服、外被カジュアルウェア)、制服が含まれる。第二次世界大戦後確定したこの業界区分も、素材の多様化などから重複したりする製品もあり、実情にあわなくなってきている。

[辻ますみ]

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普及版 字通 「被服」の読み・字形・画数・意味

【被服】ひふく

衣服。〔史記、武帝紀〕言ひて曰く、上(しやう)(も)しぜんと欲せば、宮室被に象(かたど)らざれば、物至らずと。

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