堕落(読み)だらく

精選版 日本国語大辞典 「堕落」の意味・読み・例文・類語

だ‐らく【堕落】

〘名〙
① 落ちること。脱落墜落
※正法眼蔵(1231‐53)三十七品菩提分法「眉鬚堕落し、面目破顔するなり」 〔詩経伝‐召南・摽有梅〕
仏語。道心を失い犯戒の心をおこすこと。仏道を修行する清浄な心を失って、俗世の人のような俗悪な考えに染まること。あるいは悪道に陥ること。
古事談(1212‐15頃)三「披露儲妻之由。〈略〉仁賀は偽称堕落之由
※歌舞伎・小袖曾我薊色縫(十六夜清心)(1859)四立「ふとした心の迷ひより、女犯(にょぼん)だらくの此清心」 〔法華経‐譬喩品〕
品行が悪くなって正しい生活ができなくなること。身をもちくずすこと。品性が卑しくなること。また、物事が、正常で健全な状態を失うこと。
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉一七「此奴めが我をあさましいものに堕落させたかと」
④ おちぶれること。勢いがなくなること。失敗すること。零落。
大鏡(12C前)四「この内侍のちにはいといみじう堕落せられにしも、そのけとこそはおぼえ侍しか」 〔荀子‐富国〕

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デジタル大辞泉 「堕落」の意味・読み・例文・類語

だ‐らく【堕落】

[名](スル)4原義
生活がくずれ、品行がいやしくなること。節操を失うこと。身をもちくずすこと。「酒がもとで堕落する」
物事がその本来あるべき正しい姿や価値を失うこと。「小説堕落したものだ」「政治堕落
おちぶれること。零落。
「此の長物に頼って官途に在るは…、日ならずして―せん」〈服部誠一・東京新繁昌記
落ちること。墜落。
「仰げば高山突兀とっこつとして頭上に―し来らんとし」〈鉄腸雪中梅
仏語。道心を失って悪道に落ちること。
[類語](1腐敗自堕落退廃堕する退廃的デカダンデカダンス虚無的不健全不健康放逸刹那的病的自虐的自罰的内罰的悲観的自嘲自暴自棄自己嫌悪ペシミスチックペシミズムペシミスト否定的消極的後ろ向きマイナス思考ネガティブ厭世的厭世観厭世主義絶望的享楽的快楽主義刹那主義ニヒルニヒリスティックシニカルシニシズム/(3没落落ちぶれるうらぶれる成り下がる零落凋落ちょうらく転落落魄らくはく淪落末路斜陽地に落ちる成れの果て見る影もない末期的衰残弱体化衰弱衰微衰退頓挫衰え減退後退退潮朽ちる消沈衰亡たそがれ失速焼きが回る耄碌もうろくぽんこつ火の車終末大詰め尾羽うち枯らす世も末廃れる衰える寂れる落ち目下火尻すぼみ廃退下り坂左前不振じり貧どか貧先細り下がり目低落廃る傾く尻下がり尻切れとんぼ竜頭蛇尾孤城落日

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普及版 字通 「堕落」の読み・字形・画数・意味

【堕落】だらく

落ちる。〔漢書、宣帝紀〕惟(おも)ふに、耆老の人、髮齒墮し、血氣す。~今より以來、十以上は、誣し人を傷するに非ざれば、他は皆坐せしむること勿(なか)れ。

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