精選版 日本国語大辞典 「黄昏」の意味・読み・例文・類語
たそ‐がれ【黄昏】
〘名〙 (古くは「たそかれ」。「誰(た)そ彼(かれ)は」と、人のさまの見分け難い時の意) 夕方の薄暗い時。夕暮れ。暮れ方。たそがれどき。また、比喩的に用いて、盛りの時期がすぎて衰えの見えだしたころをもいう。→かわたれ。
※海人手子良集(970頃)「黄昏に涙の玉をながめつつねふして夜はにあかすともし火」
※源氏(1001‐14頃)夕顔「寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔」
※現代文学にあらはれた知識人の肖像(1952)〈亀井勝一郎〉杉野駿介「私には人類の黄昏(タソガレ)としてみえる」
こう‐こん クヮウ‥【黄昏】
〘名〙
① (形動タリ) 日の暮れかかること。夕やみのせまること。また、そのさま。夕暮。たそがれ。
※将門記(940頃か)「孟冬の日、黄昏に臨めり」 〔楚辞‐離騒〕
② 戌(いぬ)の刻のこと。
※延喜式(927)四「其儀十五日黄昏以後。禰宜率二諸内人、物忌等一。陣二列神御雑物一。訖亥時供二夕膳一。丑時供二朝膳一。禰宜内人等奏二歌舞一」 〔淮南子‐天文訓〕
たそが・れる【黄昏】
〘自ラ下一〙 たそが・る 〘自ラ下二〙 (名詞「たそがれ」を動詞化したもの) 夕暮となる。暮方になる。また、比喩的に、盛りが過ぎて衰える。
※俳諧・俳諧次韻(1681)「蚓の音さへ耳に腹だつ〈才丸〉 月の秋うらみはこべの且夕(タソカレ)て〈揚水〉」
※人情本・英対暖語(1838)五「はや黄昏(タソガレ)て、田甫(たんぼ)には耕作する人もなく」
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