因循(読み)インジュン

デジタル大辞泉 「因循」の意味・読み・例文・類語

いん‐じゅん【因循】

[名・形動](スル)
古い習慣や方法などに従うばかりで、それを一向に改めようとしないこと。また、そのさま。
「―な財産家であろうと思うて軽蔑したのは」〈鉄腸南洋の大波瀾〉
思い切りが悪く、ぐずぐずしていること。引っ込み思案なさま。
「なにを―しておるか。勉強して神速しんそくにせい」〈魯文安愚楽鍋
[類語](2うじうじもじもじいじいじくよくよぐじぐじぐずぐずうろうろうろちょろどぎまぎおたおたまごまごどぎどぎそわそわもぞもぞ未練がましい名残惜しい惜しいもったいないあたら残念残り惜しい残り多い口惜しい惜しむ心残り物惜しみ未練愛惜痛惜後ろ髪後を引く去り難いしつこい執念深いねちっこいねついねちねち悪あがきうだうだ断腸の思い負け惜しみこだわる尾を引く執拗恋恋れんれん惜しげ思い残すたゆたう思い迷う忍びないちゃかちゃかそそくさあたふたうそうそふらふらよたよたちょこまかふわふわおどおどせかせかびくびくきょときょとこせこせぐらぐらせわしい倉皇せっかちあくせく気ぜわしい軽佻浮薄浮薄闇雲やみくも性急右往左往軽挙妄動後先なしうわずるうわつくうろたえる

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精選版 日本国語大辞典 「因循」の意味・読み・例文・類語

いん‐じゅん【因循】

〘名〙 (「じゅん」は「循」の呉音漢音で「いんしゅん」とも)(「因」はよる、「循」は従うの意)
① (━する) 何事も古いならわし、方法などに従って、改めようとしないこと。旧例にこだわって改革をしないこと。既成のものによりかかること。
※日本後紀‐弘仁元年(810)九月丙辰「詔曰〈略〉難波御宇、始顕大化之称。爾来因循歴世、至今是用」 〔淮南子‐原道訓〕
② (形動ナリ・タリ) すすんで事をなそうとしないこと。消極的で、ぐずぐずしているさま。
※東海一漚別集(1375頃)長寿寺殿忌日焼香「不覚因循一月過」
※浮世草子・近代艷隠者(1686)一「かへらん心をわすれて、因循(インジュン)として立しに」 〔顔氏家訓勉学

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普及版 字通 「因循」の読み・字形・画数・意味

【因循】いんじゆん

ぐずぐずする。ためらう。旧習による。〔史記太史公自序家は無爲、~其の無を以て本と爲し、因循を以て用と爲す。

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