デジタル大辞泉
「感」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
かん‐・ずる【感】
① 心にひびく。心が強く動かされる。感動する。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「御門おほきに驚かせ給て、かんぜしめ」
※源氏(1001‐14頃)
横笛「童
(わらは)よりいとことなる音を吹き出でしに
かんじて」
※
平家(13C前)三「さればかの信施無慙の罪によって、今生に感ぜられけりとぞ見えたりける」
③ 外物の刺激を受けて反応する。
※露団々(1889)〈
幸田露伴〉七「
夕日がきらきらすると、其熱に感
(カン)じて、葉が青く顕れて」
④ 病気に感染する。
※和英語林集成(
初版)(1867)「カゼニ kandzru
(カンズル)」
[2] 〘他サ変〙 かん・ず 〘他サ変〙
① 感心する。ほめたたえる。
※
今昔(1120頃か)二「夫、妻の言を聞て、其の心を感じて喜ぶ事、无限くして」
※
徒然草(1331頃)二三八「その詞のあやまらざる事を、人みな感ず」
② ある感情、感覚をいだいたり、ある考えを浮かべたりする。心に思う。また、刺激によって
身心にある感覚を生ずる。
※
草枕(1906)〈
夏目漱石〉五「罵詈其れ自身は別に痛痒を感ぜぬが」
かん【感】
〘名〙
① 深く心に感じること。感動。感慨。感心。
※
文華秀麗集(818)上・春日左将軍臨況〈
勇山文継〉「微誠有
レ感降
二恩顧
一、欲
レ酌
二春醪
一心自寛」 〔陸機‐愍思賦序〕
② 物事にふれて起こる心の動き。感じ。きもち。
※凌雲集(814)渤海入朝〈大伴氏上〉「占レ星水上非レ無レ感、就レ日遙思眷二我堯一」
※源氏(1001‐14頃)
乙女「琴のかむならねど、あやしく物あはれなる夕かな」
③ 神仏や霊気などに心が通じてあらわれる反応。感応(かんのう)。
※
古事談(1212‐15頃)一「是若大刀御辛樻鎰歟云々。天気有
レ感」 〔
淮南子‐天文訓〕
かん‐じ【感】
①
皮膚などが物に触れた時に生じる感覚。感触。
触覚。
※
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一「
スーと持ち上げられた時何だかふはふはした感じが有った許りである」
② 人や物事に接してそれから受ける漠然とした印象や心に浮かぶ思い。
※
浮雲(1887‐89)〈
二葉亭四迷〉一「始めて出勤した時は異
(おつ)な感じがした」
③ 物事にある
雰囲気(ふんいき)があること。また、その雰囲気。ムード。
※野分(1907)〈夏目漱石〉四「今のは面白かった。〈略〉非常に感じをよく出す人だ」
④ ききめがあらわれること。また、そのききめ。効験。しるし。「薬のかんじ」
かん・じる【感】
(サ変動詞「かんずる(感)」の上一段化したもの)
※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉中「俊三は左まで感じる様子も無く」
※藪の鶯(1888)〈三宅花圃〉八「交通貿易にもどの位の不利を感じるかしれん」
※青年(1910‐11)〈森鴎外〉一一「鈍い頭痛がしてゐて、目に羞明(しうめい)を感(カン)じる」
[補注]未然形、連用形の「感じ」の形はサ変の場合と区別しにくいので、この項には上一段であることが明らかな例だけを示した。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報