体感(読み)たいかん

精選版 日本国語大辞典 「体感」の意味・読み・例文・類語

たい‐かん【体感】

〘名〙
① (━する) からだに感ずること。また、からだに受ける感じ
灰燼(1911‐12)〈森鴎外一四「余り現在の固有の体感と矛盾してゐるので」
出発は遂に訪れず(1962)〈島尾敏雄〉「あらためて峠への坂道で襲われた生臭い体感を思い出し」

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デジタル大辞泉 「体感」の意味・読み・例文・類語

たい‐かん【体感】

[名](スル)
からだで感じること。また、からだが受ける感じ。
皮膚内臓の諸器官に加えられた刺激による感覚。暑さ・寒さ・痛み・飢え・渇き・性欲・吐きけなどの感覚。有機感覚
[類語]感覚知覚官能五感肉感感触感じセンス錯覚幻覚

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改訂新版 世界大百科事典 「体感」の意味・わかりやすい解説

体感 (たいかん)
cenesthesia

原語はギリシア語のkoinos(共通)+aisthēsis(感覚),つまり〈共通感覚〉に由来するように,体感は身体のさまざまな部分から脳に達する感覚であり,意識下にあって自我の原始的な基礎を構成していると考えられている。体感は局所づけられない,全身の状態の感じといえるものであって,多数の感覚と感情とが融合し,漠然と快とか不快,健康感,疲労感,衰弱感などとして体験されている。このような身体的実存の意識である体感は,われわれが活動しているときには背景的意識にとどまり,障害されたときにかえってはっきりとその存在が気づかれるものである。体感の障害はさまざまな精神障害さいに認められており,体感症ないしはセネストパチーといわれる。
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