御(漢字)

普及版 字通 「御(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)
11画

[字音] ギョ・ゴ
[字訓] むかえる・ふせぐ・もちいる・つかえる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は(卸)(しや)。の初文。卜辞金文には多くの形を用いる。字はもと午と卩(せつ)とに従い、午は杵形の呪器。これを拝(卩)して神を降ろし迎え、邪悪を防いだ。ゆえに「むかう」「ふせぐ」が字の初義。卜辞に「(こ)れを(もち)ひよ」、金文に「事(まつり)に(もち)ふ」「厥(そ)の辟(きみ)に(つか)ふ」のようにいう。神聖を迎え、神聖につかえる意であったので、のちにもすべて尊貴の人に関して用いる語となった。〔説文〕二下に「馬をふなり。彳に從ひ、に從ふ」として古文の馭の字をあげるが、と馭とは別の字である。〔説文〕はまた字条九上に「車を舍(す)てて馬を解くなり。卩・止・午に從ふ」とし、馬より下りる意とするが、初形は午と卩、杵を拝する形、すなわち神降ろしの形である。のちとは別の字となった。

[訓義]
1. 神をおろし、迎える。神がのぞむ、まつる。
2. 神をむかえ、ふせぐ。禦の初文。
3. もちいる、おさめる、つかう。
4. つかえる、すすめる、はべる、したがう。
5. 神や尊貴の人の行為や事物につけて用いる。あがめていう。
6. 馭と通じ、馬に乗る、馬を扱う、扱いならす。
7. ひきいる、いたす。
8. 国語で、接頭語。また接尾語のように用いることがある。

[古辞書の訓]
名義抄 ヲサム・オホム・ツカサドル・トトノフ・ワカツ・ムカフ・サフラフ・トドマル・アフ・ノル・ススム・ハムベリ・アツ・フセグ・ツカフ・タガフ・コタフ・ソフ・アリク・ウナガス・コフ・アガム・ノリ/馭 同じ

[声系]
〔説文〕に声として禦・など三字を収める。竹矢来をめぐらしたところ。禁苑などをいう。

[語系]
・禦・ngiaは圄・圉・ngiaと同声。守り防ぐ意がある。ngea、(逆)ngyak、ngak、(迎)ngyangと声近く、神異なるものを迎える意がある。吾・悟・晤ngaも声近く、神聖を守り、神聖に接する意がある。みな同系の語である。

[熟語]
御衣御宇・御・御宴御園御苑・御河御駕・御街・御極・御見・御溝御幸御袞・御坐・御座・御策御纂・御史・御旨・御事御璽・御酒・御戎御所御仗・御人・御世・御製・御注・御杯御批・御筆御蹕・御府・御風・御服・御物・御聞御袍・御名御用御容・御窯御覧・御柳・御竜御廩・御御輦・御膳御殿
[下接語]
駕御・還御・供御・控御・坐御・侍御・射御・戎御・出御・女御・常御・進御・綏御・制御・省御・遷御・鎮御・徒御・渡御・登御・統御・内御・入御・嬪御・傅御・撫御・服御・嬖御・奉御・崩御・防御・僕御・来御・良御・臨御

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報