精選版 日本国語大辞典 「御覧」の意味・読み・例文・類語
ごらん‐・ず【御覧】
〘他サ変〙
① ごらんになる。
※竹取(9C末‐10C初)「是を御門御覧じて、いかが帰り給はん空もなくおぼさる」
② (特に、「見る」が異性を見るの意の場合) 異性とお交わりになる。結婚なさる。
※源氏(1001‐14頃)若紫「まだむげにいはきなきほどに侍めれば、たはぶれにても御らんじがたくや」
③ (特に、「見る」が世話をするの意の場合) お世話なさる。
④ 「食う」の尊敬語。召しあがる。おあがりになる。→ごらんじいる。
※落窪(10C後)一「あこぎこの餠を箱のふたにをかしう取りなして参りて『これいかで』と言へば、君『いとねぶたし』とて起き給はねば、『なほこよひ御覧ぜよ』とて聞ゆれば」
[二] 補助動詞「見る」の尊敬語。ためしに…なさる。
ご‐らん【御覧】
[1] 〘名〙 (「ご」は接頭語)
※源氏(1001‐14頃)藤裏葉「院のうかひをめしならべてうをおろさせ給へり〈略〉わざとの御らんとはなけれどもすぎさせ給ふみちのけふばかりになん」
※栄花(1028‐92頃)様々のよろこび「とやかうやと、とりどりに女房言ひ騒ぎて、又の日の御覧に」
[2]
※滑稽本・素人狂言紋切形(1814)上「小団十を御覧(ゴラン)、アノマアよくなった事を」
[二] 「ごらんなさい(御覧━)(二)」の略。
※人情本・清談若緑(19C中)二「今お前様に死なれて御覧(ゴラン)。私しゃア何様(どう)しませう」
ごろう・じる ゴラウじる【御覧】
〘他ザ上一〙 (サ変動詞「ごろうず(御覧)」が上一段活用に変化したもの)
[一]
① ごらんになる。ごらんず。
※玉塵抄(1563)二〇「玄宗の此をごらうじてなをなをひさうさしむたぞ」
② (命令形「ごろうじろ」の形で) =ごらんなさい(御覧━)(一)②
ごろう‐・ず ゴラウ‥【御覧】
〘他サ変〙 (「ごらんず」の変化した語)
[一] ごらんになる。
※天草本伊曾保(1593)ネテナボ帝王イソホに御不審の条々「テイワウ コレヲ gorǒjerarete(ゴラウゼラレテ) ヲウキニ ヲドロカセラルル テイデ」
[二] 補助動詞として用いる。動詞の連用形に助詞「て」を添えた形について「…してみる」の意の尊敬語となる。
※杜詩続翠抄(1439頃)八「よくよく按じてごらうぜい」
ごろんじゃ・る【御覧】
[1] 〘他ラ四〙 (「御覧(ごらん)じある」の変化した語) 「見る」の尊敬語。御覧になる。ごらんずる。
※狂言記・茶壺(1660)「はあ、此やうすを御ろんじゃって下されい。あの者にわたさっしゃれて下されな」
[2] 〘他ラ下二〙 (「御覧(ごらん)ぜらる」の変化した語) 「見る」の尊敬語。御覧になる。
※狂言記・抜殻(1660)「是ごろんじゃれませい。鬼のぬけがらでござる」
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