熟語
じゅくご
複合語と同義に用いられることが多い。とくに語が複合することによって、もとの語の意味だけでなく、新しい語義が生ずるものをさすことが多い。「月日(つきひ)」「とまり木」「年忘れ」などである。また、とくに漢字を構成要素とする漢語をさすことも多い(「努力」「登場」「宿場」など)。この場合は、漢字一字ごとを形態素とみれば複合語であるが、現代語ではすでにその必要はなく、一語の単純語と考えるほうが自然である。
なお、英文法などにおいては、「熟語」の語を慣用句・慣用語(イディオム)の意味で用いる。この場合はかならずしも単語だけをさすのではなく、複合語(lakeside湖畔)や慣用語(give-and-take)や慣用句(rain cats and dogs激しく雨が降る)などを含めて用いられる。
[近藤泰弘]
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じゅく‐ご【熟語】
〘名〙 二つ以上の単語または単語の要素が
結合し、単語としての慣用が固定しているもの。単語の結合したものは
合成語または複合語ともいう。また、特定の意味に慣用される
語句もいう。成句。
※足利本人天眼目抄(1471‐73)中「塩梅━私云梅の字はすの閉処也塩梅は熟語也」
※文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉三「
智徳の二字を熟語に用ひ」
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熟語
じゅくご
慣用句の意味に用いられることもあり,合成語の意味に用いられることもある。また,これらと異なる観点から,構文上一つの単語と同じ機能をもつ単語連続と定義されることもある。この場合は「入る,乗る」の意味の get inなどのように,それぞれの単語の意味から全体の意味が十分に予測されて,狭義の慣用句とはいえないものまで含まれる。
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デジタル大辞泉
「熟語」の意味・読み・例文・類語
じゅく‐ご【熟語】
1 2字またはそれ以上の漢字で書かれる漢語。熟字。「幸福」「美女」など。
2 二つまたはそれ以上の単語が合わさって、一つの単語として用いられるようになったもの。複合語。合成語。
3 慣用によって、特定の意味に用いられるようになった語句。慣用句。成句。イディオム。「気が抜ける」「油を売る」などの類。
[類語]句・フレーズ・語句・章句・字句・一字一句
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熟語【じゅくご】
(1)二つ以上の単語が複合して一単語となったもの。複合語。例,〈山道〉〈歩き回る〉など。(2)二つ以上の単語がいつも一続きに用いられ,その結合が全体として固定的な意味を表すもの。慣用句。例,〈水をさす〉〈合わせる顔がない〉など。
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じゅくご【熟語】
2個以上の単位の語が結びついて,構文上1個の単語と同様の働きをするものを,一般に熟語という。一連の表現ではあるが,文法上なお数個の単語の連続とみなされるもの(その連続の間には助詞の働きが認められる)は,慣用句,成句などとよび,その結合が1個の単語とみなされて全体としてある1品詞に属させられるときは複合語,成語などとよぶ。【林 大】
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世界大百科事典内の熟語の言及
【辞書】より
…(2)見出し語と説明語とが,(a)同一の言語であるもの,(b)異なった言語であるもの(対訳辞典,方言辞典など)に二分できる。(3)収録語の性格によって,(a)普通辞典(一般辞典,一般の語を扱うもの)と(b)特殊辞典とに分かれ,さらに(b)は品詞辞典,語源辞典,古語辞典,現代語辞典,発音辞典,アクセント辞典,文法辞典,外来語辞典,標準語辞典,方言辞典,難訓辞典,類語辞典,熟語辞典など,また特殊な分野ごとに言語学辞典,文学辞典,歴史辞典,宗教辞典,地名辞典,民俗語彙(ごい),隠語辞典などがある。
[効用]
文字や発音や意味や用法などが不明な場合,そのうちの一つを知るだけで,他を知るのに役だつ。…
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