デジタル大辞泉
「仄仄」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ほの‐ぼの【仄仄】
[1] 〘副〙 (「ほのほの」とも。「と」を伴って用いることもある)
① わずかに見たり聞いたり知ったりするさまを表わす語。
※宇津保(970‐999頃)吹上下「このおこなひ人を、ほのぼの御らんぜしやうにおぼさる」
② 夜がかすかに明けていくさまを表わす語。
※
古今(905‐914)羇旅・四〇九「ほのぼのとあかしの
うらの
あさぎりにしまがくれゆく舟をしぞ思〈よみ人しらず〉」
③ 光がわずかで薄暗いさま、また物がはっきりと見分けられないさまを表わす語。
※永久百首(1116)雑「
雲津よりすすめぐりするこし船の沖漕ぎさかりほのほのと見ゆ〈
藤原仲実〉」
④ それとなく暖かみの感じられるさま、また、心の明るさ、やさしさなどが感じられるさまを表わす語。
[2] 〘形動〙 (一)に同じ。
※右京大夫集(13C前)「比はうづきの十日なりけるに、月の
ひかりもほのぼのにて」
[3] 〘名〙 夜がわずかに明ける頃。早暁。
※続古事談(1219)一「いまだほのぼののほどに、主上いでて南面におはします」
[
語誌]
中古の
用例では、
副詞「ほのぼの」と、「と」を伴った「ほのぼのと」との間に、用法上の
差異が認められる。「ほのぼのと」は、(イ)「明
(あ)く」に連接するもの、(ロ)そうではないが、明らかに
夜明けの
描写とわかるもの、(ハ)「
明石」にかかって枕詞的に用いられるもの、この三つの場合にほぼ限定され、ほんのりと白んでいく夜明けの状景を象徴的・
感覚的にとらえる語で、擬態語的要素が濃厚である。一方、「ほのぼの」は、
視覚・
聴覚・
嗅覚、または心的
作用でかすかに把握される状況や状態の描写に用いられるが、
人事に関するものに限られる。
ほのぼの‐し【仄仄】
〘形シク〙 ほのかである。かすかである。また、感覚がはっきりしない。
※享和本新撰字鏡(898‐901頃)「瞶 目疾也不明之㒵 目保乃保乃志 又目志比」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報