デジタル大辞泉
「薄明」の意味・読み・例文・類語
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うす‐あかり【薄明】
〘名〙
① かすかな明るさ。ほのかにさす光。弱い光。微光。
※俳諧・曠野(1689)一「雨の月どこともなしの薄あかり〈
越人〉」
② 日の出前、日没後などのかすかな明るさ。また、光。はくめい。
微明。
※内地雑居未来之夢(1886)〈
坪内逍遙〉四「
黄昏(たそがれ)の薄明
(ウスアカリ)にて能
(よく)は見えねど」
うすら‐あかり【薄明】
〘名〙 かすかにほの
明るいさま。わずかばかりの明るさ。うすあかり。
※
邪宗門(1909)〈
北原白秋〉魔睡・鈴の音「饐
(す)え温
(ぬ)るむ空のをち、
薄らあかりに、ほのかにも」
うす‐あか・い【薄明】
〘形口〙 光の強くないさま。わずかに明るい。薄明るい。薄ら明るい。
※帰
去来(1901)〈
国木田独歩〉一三「
外面(そと)は星冴えて薄明
(ウスアカ)く海が光って見える」
はく‐めい【薄明】
〘名〙 日の出前または日没後、太陽光線が
上層の大気によって散乱され、空がうす明るく見える
現象。また、その明るさ。天文学的には太陽が地平線下一八度以内にあるときをいう。
※桐の花(1913)〈北原白秋〉「薄明の時」
うす‐あかる・い【薄明】
〘形口〙 ほのかに明るい。かすかに明るい。
※
夢十夜(1908)〈
夏目漱石〉五「篝りを継ぎ足したので、
遠くの空が薄明
(ウスアカ)るく見える」
うすら‐あかる・い【薄明】
〘形口〙 ほのかに明るい。わずかに明るい。うすあかるい。
※
誓言(1912)〈
田村俊子〉「薄ら明るくなってきた窓の下で」
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薄明
はくめい
日没後・日の出前、しばらく薄明りの状態が続くが、これを薄明という。この現象は、観測者の上空の厚い大気の層の空気の分子や浮遊塵(じん)による太陽光の散乱によるものである。日の出前(日没後)太陽が地平線下6度に達するときを常用薄明の終わり(始め)といい、もっとも明るい星が見えなくなる(見え始める)。12度に達したときを航海薄明の終わり(始め)という。太陽が地平線下6度から12度にある間は地平線が見えていて、航海者が天測するのに都合がよいことからこの名がある。太陽が地平線下18度に達したときは、日没後であれば完全に暗くなり、6等星が現れ、あるいは日の出前では消失するときで、これを天文薄明という。薄明の継続時間は各地の緯度および太陽の赤緯によって異なる。低緯度地方では短く、高緯度地方では長い。薄明が終夜続く現象を白夜(びゃくや)といい、太陽は一日中地平線下に没することはない。
[渡辺敏夫]
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薄明 (はくめい)
twilight
日の出前,日没後の薄明りをいう。地平線下にある太陽の光が上層の大気に散乱されて起こる。照度は気象条件に大きく依存するが,平均的には太陽の俯角の関数であり,太陽の水平面下の角度により市民薄明,航海薄明,天文薄明の別がある(図1)。薄明の継続時間はその地の緯度と太陽の赤緯の関数となり,同一地点では季節によって変化する(図2)。低緯度地帯では四季を通じて短く,高緯度地帯では長い。後者では夏季に白夜となる。
執筆者:森 巧
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薄明
はくめい
twilight
日の出前と日の入り後の空がほのかに明るい状態。地平線(または水平線)の下にある太陽からの光が,上層大気によって反射または散乱されて地表に達するために起こる。太陽高度-6°以内のとき(太陽の中心が地平線下になる)を通常薄明といい,この期間は戸外で新聞を読むことができるほどの明るさがある。また太陽高度の中心が地平線下-6°から-12°以内を航海薄明,-12°から-18°以内にあるときを天文薄明といい,かなり暗い。 薄明の時間は一般に高緯度地方ほど長い。
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薄明【はくめい】
日の出直前と日没直後のうすあかり。地平線下にある太陽の光が上層大気で散乱されて生じる。市民(常用)薄明(太陽の天頂距離が96°の時まで),航海薄明(96°〜102°),天文薄明(102°〜108°)に分けられる。低緯度地方では1年を通じて薄明は短く,高緯度地方では長く,特に夏季には白夜(びゃくや)となる。
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