やく【厄】
〘名〙
※霊異記(810‐824)上「父の厄を救はむと請ふ」
※実隆公記‐延徳二年(1490)二月七日「当年御厄之間別而御願云々」
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉犬物語「先づ是で十九の厄(ヤク)を免れて」
③ 疱瘡
(ほうそう)のこと。
厄年と同じで、生涯に一度は経験するものであったところからいう。
※洒落本・大劇場世界の幕なし(1782)「ホンニお千代さんもおやくをなすった
そふで御座ります」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
厄
やく
災厄,苦しみ,特に病苦の意味。古く人間に災厄,特に疫病をもたらすのは神のなせる業であると信じられ,その神を厄病神,疫病神,厄神,行疫神などと呼んだ。このような神の来るのを防ぐために,あらかじめ路上でもてなすという道饗祭 (みちあえのまつり) ,村境の路上に注連縄 (しめなわ) を張る道切りなどの行事が行われた。花が散るとともに疫病神が分散するという信仰から,花を散らせないようにする行事もあった。平安時代から盛んに行われた御霊祭も同じような信仰に基づく厄よけの行事であった (→御霊信仰 ) 。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
デジタル大辞泉
「厄」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
やく【厄】
人間の生命や生活の健全と安定をそこなう要因になると考えられている災難・障害に関する心意現象をいう。時間の次元では厄日,厄月,厄年があり,空間的には厄の生ずるという場所があるが,厄をもたらすという神も考えられており,それらを避けるための呪的方法が多く生み出されている。 厄日には暦にもとづく陰陽道によるものが多く,外出を忌む坎日(かんにち),葬式を忌む友引(ともびき),家屋の建築や旅立ちを忌む三隣亡(さんりんぼう),種まきや植樹を忌む不熟日(ふじゆくにち)・地火(じか)の日などがよく知られているが,二百十日とか二百二十日を厄日とする所も多い。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報