公用(読み)コウヨウ

デジタル大辞泉 「公用」の意味・読み・例文・類語

こう‐よう【公用】

おおやけ用事。国や公共団体、または勤務する会社などの用務公務。「公用で出張する」⇔私用
国や公共団体が使用すること。「公用に供する」⇔私用
[類語](1用事用向き用件所用用務小用こよう・しょうよう野暮用雑用雑事私用社用商用急用多用主用変事大事だいじ大事おおごと小事細事些事世事俗事私事しじ私事わたくしごと/(2共用専用常用愛用占用日用両用併用兼用混用汎用他用転用乱用悪用代用流用

く‐よう【公用】

公の用件。こうよう。
中世公事くじとして賦課された銭。公用銭。

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精選版 日本国語大辞典 「公用」の意味・読み・例文・類語

く‐よう【公用】

〘名〙 (「く」は「公」の呉音)
① 公の用件。役所の用務。こうよう。
※続日本紀‐天平一六年(744)二月丙辰「司別給公廨銭惣一千貫、交関取息永充公用
荘園国衙領名田関所などの年貢、公事、請料、所職の任料など公的な需要をみたすのに必要な費用
※神宮雑書‐建久七年(1196)二所太神宮神主解「為代々不輸之地、致供祭上分之勤、無神税公用煩之由具也」
※山科家礼記‐長享三年(1489)七月一〇日「御くようは毎月つこもりことに五百文宛可進納申之」
銭貨
※伊豆浜村文書‐永祿一一年(1568)六月六日・北条氏康印判状「必々大屋所へ来、炭、鉄、公用可請取申

こう‐よう【公用】

〘名〙
公共のことに用いること。また、国家や公共団体が使用すること。
耕地整理法(明治四二年)(1909)四三条「公共団体の公用又は公共の用に供する土地」 〔漢書‐母将隆伝〕
② おおやけの用事。国家、公共団体、または勤務する会社などの用事。公務。⇔私用。〔文明本節用集(室町中)〕
浮世草子・新色五巻書(1698)二「されば疾く見舞ふ筈なりしが、公用(コウヨウ)につき遅なはりぬ」
③ おおやけの費用。官府の費用。
※浄瑠璃・平家女護島(1719)一「黄金の交し金仏、金の精とおぼえたり。つゐでに御ぐしも打ひしぎ、鋳つぶして公用に達せん」 〔申鑒‐政体〕

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改訂新版 世界大百科事典 「公用」の意味・わかりやすい解説

公用 (こうよう)

室町時代の京着年貢一種。本来は公共のことに用いること,国家的なおおやけの用事などをいい,主としておおやけの費用,官府の費用を指す言葉であった。やや限定した意味では,室町期以降の荘園制動揺過程に頻出する代官請負制下の京着年貢を意味するようになる。室町期の荘園支配は,武家領,公家領たるを問わず,実質的荘務権を放棄し,それを現地の実力者にゆだねていた。中央集住の荘園領主,あるいは幕府や遠隔地に所領をもつ武家領主にとっても,契約した年貢納入額を確保することが困難かつ重要となった。これが京着年貢すなわち公用で,公用高は荘園公領の定年貢高と直接対応したものではなく,きわめて流動的であったことに特徴がある。契約相手によって同一荘園の公用が40貫文とか90貫文であったりするのである。これが一般の代官請下の荘園年貢と質的に異なるところであった。
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普及版 字通 「公用」の読み・字形・画数・意味

【公用】こうよう

国用。公共の費用。〔漢紀、哀帝紀下〕陛下、天下の用を以て、其の私門に給し、國の威を擧げて、其の家の備へに供す。民力弄臣にたれ、武兵其の妾をるは、四方を正す以に非ざるなり。

字通「公」の項目を見る

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産学連携キーワード辞典 「公用」の解説

公用

「公用」とは、特許法上、公然と実施されたことを指す。新規性を失った技術の条件となる。したがって、「公用」の技術は特許権を得ることができない。

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