公(漢字)

普及版 字通 「公(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

(旧字)
4画

[字音] コウ
[字訓] きみ・おおやけ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
儀礼の行われる宮の廷前のところの、平面形。廷前の左右に障壁があり、その中で儀礼が行われた。〔説文〕二上に「なり」とし、公平に分かつこと、また「韓非曰く」として「厶(わたくし)に背くをと爲す」(〔韓非子、五蠹〕「私に背く、之れをと謂ふ」)の語を引く。厶(私)と(八)とに従い、を左右に背く形と解するものであるが、卜文・金文に厶に従う形のものはなく、方形の宮の前に、左右の障壁の線を加える。その廷前をといい、そのに祀る人をという。そこで神徳をたたえる讚歌(頌)といい、族内の争訟を裁くを(訟)という。〔詩、召南、小星〕「夙夜(しゆくや)に在り」とは、公宮にあって、その祭事に従うことをいう。領主として祀られるものが公であり、その家の私属を私という。その関係を社会化して公私といい、公は公義・公正の義となる。

[訓義]
1. 公宮、きみ、祀られる人。
2. 天子諸侯・公長老の称、尊称。
3. おおやけ、公的なもの。
4. 公平、正しい。
5. つかさ、つとめ。
6. 工・功と通じ、しごと、てがら。

[古辞書の訓]
名義抄 キミ・オホヤケ・ツカウマツル・アラハス・コト・トモ/兄 コジウト/雷 イカヅチ 〔字鏡集〕 ツギ・サト・タビ・アラハス・トホル・マサシ・オホヤケ・ツカウマツル・タヒラカ・ヰルキミ・トモガラ・オホキミ・キミ・ヰル・コト・トモ・タダ

[声系]
〔説文〕に声として(翁)・(松)・・瓮など七字を収めるが、声のままのものはない。は公宮における行事・儀礼を示すもので会意。は長老の字義をとるものであろう。

[語系]
kong、ongは声義に通ずるところがあり、は鳥の頸毛。〔方言、六〕に周・秦・晋・の地では、老を尊んで翁とよんだという。工・功・貢kongはと同声。金文に百工を康宮に属するものとしており、工・功・貢はもと公事に関することとされたものであろう。

[熟語]
公案・公移・公嫗・公益公家・公暇・公・公衙・公会・公廨・公害・公幹・公鑒・公患公館公器・公義・公議・公宮・公給・公許・公共公金・公・公潔・公権公憲・公言・公姑公庫・公侯・公公・公行・公座・公財・公罪公子・公私公司・公事・公示公室・公社・公主・公誠公選・公然・公孫・公台・公断・公鋳・公庁・公調・公直・公庭・公廷・公第・公程公田・公塗・公帑・公牘・公任・公婆・公評公布・公賦・公憤・公文・公平・公輔・公法・公俸・公明・公・公用・公理・公廩・公・公論
[下接語]
王公・郭公・貴公・愚公・君公・三公・至公・主公・諸公・相公・上公・仁公・狙公・尊公・大公・太公・乃公・天公・土公・辟公・奉公・雷公・老公

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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