世事(読み)せじ

精選版 日本国語大辞典 「世事」の意味・読み・例文・類語

せ‐じ【世事】

〘名〙
世間の事。世の中のこと。人事俗事せいじ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉三九「吁(ああ)世事の変遷し易きや、此家今日復た玉車を迎へず空しく既往の事とはなれり」
② 世間の事に対処すること。人に対する態度。転じて、愛想のよい口のききかた。世辞
洒落本傾城買二筋道(1798)冬の床「かんにんなんしまた文里さんのせじがはじまった」
人情本・春色梅児誉美(1832‐33)序「艷言(セジ)で欺(まろめ)て浮薄(うはき)で交(こね)て」
[語誌](1)①の意味ではセイジともいう。古辞書類も多く「せいじ」と読んでおり、中世まではセイジが一般的であったと思われる。
(2)②の意味は①から生じたが、「世辞」の表記も生まれ、明治以降、この表記が定着した。

せい‐じ【世事】

〘名〙
① 世の中の事。世間の俗事。処世のこと。せじ。
※菅家文草(900頃)五・早春観賜宴宮人同賦催粧「野中芼菜、世事推之蕙心矣」
※評判記・色道大鏡(1678)五「又わすれずとても、世事(セイジ)を塵垓(ぢんかい)ともおもはざれば」 〔史記‐屈原伝〕
② 仏語。僧が、定められた以外食事をすること。
※雑談集(1305)三「未申の時ばかり非時して、法師原坂本へ下りぬれば、夕方寄り合ひて、事と名づけ我我世事(セイジ)して食す」
和船で、船内の炊事を行なう部屋。なお江戸時代の関東の川船では、炊事の間を兼ねた船頭らの居住用小屋形を同様に呼んだ。世事の間。世事所。火床(ひどこ)の間。

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デジタル大辞泉 「世事」の意味・読み・例文・類語

せ‐じ【世事】

世の中の事柄。俗事。「世事にうとい」
世辞」に同じ。
不相変あいかわらず愛嬌も―も無いが」〈紅葉多情多恨
[類語]俗事世塵世故俗塵俗用世相事物事象物事現象出来事余事余所よそ他事他人事人事ひとごと雑事諸事事件時事事柄事故異変大変急変変事大事だいじ大事おおごと小事細事些事私事しじ私事わたくしごと用事用向き用件所用用務小用こよう・しょうよう野暮用雑用雑事私用公用社用商用急用多用主用珍事不祥事アクシデントハプニングセンセーション

せい‐じ【世事】

世間の俗事。せじ。
僧が定められている以外の食事をとること。
和船で、炊事を行う部屋。

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普及版 字通 「世事」の読み・字形・画数・意味

【世事】せいじ

世上のこと。〔史記、屈原伝〕上は(ていこく)をし、下は齊桓を(い)ひ、中ごろ湯武をべ、以て世事を刺(そし)り、の廣崇、治亂の條貫をらかにし、畢(ことごと)く見(しめ)さざる靡(な)し。

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