デジタル大辞泉
「男」の意味・読み・例文・類語
お〔を〕【▽男/▽夫】
《「雄」と同語源。「女」に対する語》
1 おとこ。男子。
「吾が大国主汝こそは―にいませば」〈記・上・歌謡〉
2 おっと。
「吾はもよ女にしあれば、汝を置て―はなし」〈記・上・歌謡〉
3 (「雄」「牡」とも書く)他の語の上または下に付いて複合語をつくる。
㋐男性、または動植物のおすを表す。「―牛」「―花」「益荒―」
㋑一対の物のうち、大きいもの、または男性的と思われるほうのものを表す。「―岳」「―竹」
㋒おおしい、勇ましい意を表す。「―たけび」「―心」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おと‐こ をと‥【男】
〘名〙 人間のうち、
精子をつくる器官をそなえている方。
(イ) 青年の男。成年に達した男性。
※
古事記(712)上「麗
(うるは)しき壮夫
(ヲトコ)に成りて出で遊行
(あそ)びき〈壮夫を訓みて袁等古
(ヲトコ)と云ふ〉」
※
書紀(720)神代上「憙哉
(あなうれしゑや)可美
(うまし)少男
(ヲトコ)に遇ひぬること〈少男、此をば烏等孤
(ヲトコ)と云ふ〉」
※
万葉(8C後)二〇・四三一七「
秋野には今こそ行かめもののふの乎等古
(ヲトコ)女
(をみな)の花にほひ見に」
※土左(935頃)
発端「をとこもすなる日記といふものを、女
(をむな)もしてみんとてするなり」
③ 夫婦関係、男女関係での男性。
(イ) 夫。良人。妻に対する配偶者。
※
古今(905‐914)雑下・九七三・左注「昔おとこありけるをうなの、おとこ訪はずなりにければ」
(ロ) 情人。情夫。
※続
春夏秋冬(1906‐07)〈河東碧梧桐選〉冬「妓は皆舸夫を情夫
(ヲトコ)や小夜千鳥〈六花〉」
④ 出家していない男性。在俗の男性。
※成尋母集(1073頃)「法師なるも、おとこなるも、おとづれつとして」
※
源氏(1001‐14頃)若紫「おとこどもぞ御簾
(みす)のとにありける」
※
浮世草子・傾城歌三味線(1732)二「是非なく男になりまして、此東後屋
(とうごや)へ料理人にありつき」
⑥ 男性としての
特質。また、その特質を持った男性。
(イ) 男らしい男子。雄々しい男子。りっぱな男子。
※
曾我物語(南北朝頃)五「
弓矢を取るも、取らざるも、おとこと首をきざまるる程の者が」
※浮世草子・好色一代男(1682)四「あたまつき、人に替り、男(オトコ)も勝れて、女のすくべき風(ふう)也」
⑦ 雄性のもの。おす。「男犬」「男柱」等の熟語形で用いることが多い。
⑧ 対になったもののうち、大きい、けわしいなどの性質をそなえている方。「男坂」「男山」など。
[語誌](1)「ひこ(彦)」「ひめ(姫)」などと同様、「こ」「め」を男女の対立を示す
形態素として、「をとめ」に対する語として成立した。「をと」は、「をち(復)」「をつ(復)」と同語源とみられ、若、未熟を意味する。
(2)本来、若い青年男子(とりもなおさず
結婚適齢期にあることを意味する)を指したが、上代からすでに「をみな(をむな・をんな)」と対の関係が成立して、年代・世代を問わず男性(一般)を指す語となった。
だん【男】
〘名〙
① おとこ。男子。男性。〔易経‐繋辞上〕
③ わかもの。元気さかんな者。壮丁。
④ 五等爵の第五位。旧華族制度でいう。ヨーロッパの貴族の階級についても用いる。男爵。
※号外(1906)〈国木田独歩〉「『加ト男(ダン)』とは『加藤男爵』の略称」 〔礼記‐王制〕
なん【男】
〘名〙
① おとこ。おのこ。男性。だん。
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)五「また、これ男(ナン)(〈注〉ヲトコ)、これ女(にょ)と分別せされ」
② 息子。せがれ。だん。
※太平記(14C後)一二「君は何の処の人、誰が家の男(ナン)にて御坐(おはします)ぞ」
おとこ‐し をとこ‥【男】
〘形シク〙 いかにも男という感じである。男らしい。⇔
女し。
※浮世草子・古今堪忍記(1708)三「いまより男しきふるまひなせそ、いづかたにも似つかはしき方に縁もこそあれ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の男の言及
【性】より
…〈性〉ということばにはさまざまな意味がある。まず〈性〉は生物の多くの種にみられる二つの表現形態の区別で,ヒトであれば男性―女性,動植物であれば雄性(雄)―雌性(雌)の区別を意味する。次に,この二つの性が存在するところから生じる行動,現象も一般に〈性〉といわれる。…
※「男」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」