雄
おす
雌雄異体の生物のなかで、精巣のある動物個体や、小配偶子を生産する植物個体をさす。雌の対語。ただし、下等生物では雄と雌の区別は個体間の相対的な関係で決まる場合もある。有性生殖において、雄のつくる配偶子(精子など)は雌の生産する配偶子(卵など)に比べて小形で、運動性のあるものも多い。動物では生殖に際して性行動がみられるものが多いが、縄張り行動、異性の探索、求愛、交尾などの諸行動において積極的な役割を果たすのは主として雄である。動物の雄では、雌にない外形的あるいは行動的特徴(二次性徴)のあるものが多いが、これらの特徴の多くは前述の諸行動において信号的な役割を果たしている。
[木村武二]
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ゆう【雄】
〘名〙
※
太平記(14C後)一三「此劔必ず雄
(ユウ)と雌と二つ有るべし。其雌雄一所に在ざる間、
是を悲で泣者也」 〔説文解字‐四篇・佳部〕
② (形動) 雄々しいこと。強くいさましいこと。また、すぐれていること。傑出していること。また、その人。
※太平記(14C後)二〇「新田左中将の首京都に著ければ、是れ朝敵の最
(さい)、武敵の雄
(ユウ)なりとて、
大路を渡して獄門に懸らる」 〔春秋左伝‐襄公二一年〕
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おす【雄 male】
一般には,雌雄異体の生物において精巣,すなわち精子を形成する器官をもつほうの個体をさす。植物や下等動物では,比較的小さくて活発に運動する小配偶子を相手個体(雌)へ移すほうの個体を雄という。しかし,遺伝的に雄であっても,下等生物では,環境条件や発生途中で性が転換するものがあり,またアオミドロや魚のベラやハナダイのように個体の性が相対的にきまるものもいるため,生物学的には雄に共通な性質(雄形質という)をより多くもった個体を雄という。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報