(読み)シ

デジタル大辞泉 「士」の意味・読み・例文・類語

し【士】[漢字項目]

[音](漢) ジ(呉) [訓]さむらい
学習漢字]5年
〈シ〉
成人した男子。また、学識・徳行のあるりっぱな男子。「士女隠士義士国士志士紳士人士壮士文士名士
古代中国の官吏の一。大夫より下の階級。「士大夫
特別の資格・技術を身につけた人。「学士棋士修士博士はくし弁士
さむらい。「士分騎士郷士ごうし武士浪士
軍人。「士官士気戦士兵士勇士
自衛隊の兵の称。「海士空士陸士
〈ジ〉に同じ。「衛士えじ居士こじ
[名のり]あき・あきら・お・おさむ・こと・さち・ただ・つかさ・と・のり・ひと・まもる
難読海士あま徒士かち博士はかせ武士もののふ

し【士】

男性。男子。また、特に学問・道徳などを身にそなえた尊敬に値する人物。「一定の論あり」「同好を募る」「博学
さむらい。武士。「農工商」
中国、代の支配階級うち大夫の下の身分
一定の資格・職業の人。「弁護」「イエズス会
[類語]男性男子野郎男児おのこ壮丁そうてい壮夫ますらお丈夫じょうふ紳士殿方ジェントルマン

じ【士/仕】[漢字項目]

〈士〉⇒
〈仕〉⇒

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精選版 日本国語大辞典 「士」の意味・読み・例文・類語

し【士】

〘名〙
官位俸祿を有し、人民の上に位する男。
※続日本紀‐養老四年(720)六月己酉「士有百行、孝敬為先」
※菅家文草(900頃)二・相国東廊、講孝経畢「士出寒閨忠順成、樵夫不歎負薪行」 〔国語‐斉語一〕
② 男性をいう。男子。おとこ。おのこ。「同好の士」 〔史記‐刺客伝〕
③ 学問、道徳を身につけたりっぱな人。また、人徳の備わった尊敬に値する人物。
※菅家文草(900頃)二・有所思「狂暴之人難我、文章之士定為誰」
徒然草(1331頃)一四三「博学の士も計るべからず」 〔史記‐周本紀〕
④ 武道をもって主君に仕える者。武士。さむらい。士族
※太平記(14C後)二六「互に賢才の臣、勇猛の士を具して才を挍べ」
※史記抄(1477)一九「士農工商の四民と云て、人に四種の品があるぞ。士は、日本にさぶらいと云ほどの者ぞ」
⑤ 古く中国で、天子諸侯家臣で大夫の下に位する者。

じ【士】

〘名〙 =し(士)
日葡辞書(1603‐04)「Ii(ジ)。ツワモノ〈訳〉兵士。例、ユミャウノ jiuo(ジヲ) メシグス」

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旺文社世界史事典 三訂版 「士」の解説


周代の天子諸侯に仕え,治者階級の一員として卿 (けい) ・大夫 (たいふ) の下に位置した身分
のち官吏を中心とする読書人・知識人をさした。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「士」の解説

士(し)

卿(けい)・大夫(たいふ)・士(し)

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【軍制】より

… 7世紀中葉の大化改新以後,中央集権国家建設の事業が進められ,8世紀初めには中国にならった日本の律令国家の体制が完成する。律令制のもとでは全人民が戸籍を通じて国家に掌握され,役務の一つとして成年男子のなかから徴発された兵士(ひようじ)が軍団に勤務した。これは当時の東アジア情勢の緊迫に対処して,国家的な常備軍の編成をめざしたものと考えられる。…

【士農工商】より

…江戸時代の社会を構成した主要な身分である武士,百姓,職人,商人を指す言葉。四民ともいう。…

【春秋戦国時代】より

…この間上記の春秋の大国のうち曹が前487年宋に,陳が前478年楚に併合された。一方諸国内では大夫が諸侯を抑え,さらに士が大夫を制するといった下剋上の気風が強まり,魯では孟孫・叔孫・季孫の三大夫の家が国政を左右し,一時は季孫氏の臣であった陽虎が政権を握った。北方の大国晋でも,韓,魏,趙,知,范,中行の6氏が強大となり,晋侯の力は失われ,前453年に,韓,魏,趙の3氏が晋を分割し,前403年に周王より正式に諸侯と承認され,また斉では陳からの亡命大夫田氏が斉侯を凌駕し,前386年には完全に国を奪い,斉侯として周王に認められた。…

【戦争】より

…これは北の世界での〈平和〉と南の世界での〈戦争〉を併存させるという奇妙な時代を画し,戦争の性格をこれまでになく本質的に変容させた。
[革命の戦争]
 17~18世紀までの君主間の戦争は,王に対して直接的な関係をもつ貴族からなる〈将校〉と,ヨーロッパ全土から強制徴募か懸賞金で召集された〈下士卒〉とに厳格に分かれた,階層的構造をもつ専門家の軍隊によって,一地方の併合や保持といった王朝的利益のために,一定の対決の規則にもとづいて行われる限定的なゲームでしかなかった。それは形式を重視し,殺戮(さつりく)の少ない,どちらかといえば遊戯的機能をもつ戦争であった。…

【中国】より

…しかしながら,多少とも儒教というものに知識をもつ人であれば,この感懐もまた不思議以外の何物でもあるまい。乃木将軍の死は武士道の精華とこそいうべきであろうが,どう考えても儒教的ということはできないように思われる。君父に対するいかに深い哀痛であろうとも,それを礼によって抑制して〈性を滅せしめない〉のこそ儒教の教えであった。…

※「士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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