山口(読み)やまぐち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「山口」の意味・わかりやすい解説

山口
やまぐち

長野県南西部、木曽郡(きそぐん)にあった旧村名(山口村(むら))。現在は岐阜県中津川市東部を占める地域。1958年(昭和33)長野県西筑摩郡(にしちくまぐん)神坂村(みさかむら)が中津川市に編入した際、馬籠(まごめ)、峠、荒町(あらまち)の3地区は山口村に編入。山口村は生活圏としては中津川市に属していたため、2005年(平成17)長野県から岐阜県中津川市に越県編入した。旧村域は木曽谷南端にあり、国道19号(中山道(なかせんどう))が通じ、JR中央本線中津川駅からバス便で結ばれている。気候は温暖で、太い竹の林や茶畑があり、木曽川左岸の傾斜地は水田化している。旧中山道に沿う馬籠は近世の木曽十一宿の馬籠宿で、島崎藤村の出身地として知られる。藤村記念館、島崎家の墓所永昌(えいしょう)寺、清水屋資料館、馬籠脇本陣史料館、東山魁夷(かいい)のリトグラフなどを展示する東山魁夷心の旅路館などがある。

[小林寛義]

『『山口村誌』全2巻(1995・山口村)』

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精選版 日本国語大辞典 「山口」の意味・読み・例文・類語

やま‐ぐち【山口】

[1] 〘名〙
① 山の登り口。山の入口。麓。
※琴歌譜(9C前)山口振「夜万久知(ヤマグチ) 大菅原を 牛は踏む 猪は踏むともよ 民な踏みそね」
② 鷹狩りの時、狩りをしようとして先ず狩り場にはいること。また、その所。狩り場への入口。
※大鏡(12C前)六「さて山ぐちいらせ給しほどに、しらせうといひし御鷹の、とりをとりながら」
③ (山かせぎの者が、山への入口で、その日の獲ものの有無を直感するというところから) 物事のきざし。兆候。前ぶれ。
蜻蛉(974頃)上「いちじるき山ぐちならばここながら神のけしきをみせよとぞおもふ」
④ 樵(きこり)が山の木を伐り始めること。
[2]
[一] 山口県中央部の地名県庁所在地。延文年間(一三五六‐六一大内弘世が京都に模した市街を建設し、大内氏の隆盛とともに繁栄。江戸末期に毛利氏藩庁が置かれた。常栄寺庭園瑠璃光寺五重塔国宝)、洞春寺観音堂、ザビエル記念聖堂、湯田温泉などがある。昭和四年(一九二九)市制。

やまぐち【山口】

姓氏の一つ。

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デジタル大辞泉 「山口」の意味・読み・例文・類語

やまぐち【山口】[地名]

中国地方西部の県。もとの長門ながと周防すおうの2国にあたる。人口145.1万(2010)。
山口県中央部の市。県庁所在地。中世、大内氏が京都を模した町を建設し発展幕末から毛利氏の藩庁が移された。常栄寺庭園・瑠璃光寺などの史跡湯田温泉がある。平成17年(2005)に徳地町秋穂あいお町・小郡おごおり町・阿知須あじす町と合併。平成22年(2010)に阿東町を編入。人口19.7万(2010)。

やま‐ぐち【山口】

山の登り口。山への入り口。
鷹狩たかがりで、まず狩り場に入ること。また、その所。
「―入らせ給ひしほどに、しらせうといひし御鷹の、鳥を取りながら」〈大鏡・道長下〉
《猟師が山の入り口で、獲物の有無を直感するというところから》物事のきざし。兆候。
「いちじるき―ならばここながら神のけしきを見せよとぞ思ふ」〈かげろふ・上〉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山口」の意味・わかりやすい解説

山口
やまぐち

岐阜県南東部,中津川市南東部の旧村域。以前は長野県に属した。木曾谷の南端,木曾川左岸にあり,気候は太平洋岸型に近い。 1889年長野県山口村として村制。 1958年神坂村の一部を編入。 2005年岐阜県中津川市に編入。主要集落は旧中山道沿いにある。馬籠は近世の宿場景観を残し,島崎藤村の出身地としても知られ,東境の馬籠峠とともに訪れる人が多い。

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旺文社日本史事典 三訂版 「山口」の解説

山口
やまぐち

山口県中央部にある県庁所在地
南北朝時代,大内弘世 (ひろよ) がここに移って以来,大内氏の城下町として発展。応仁の乱(1467〜77)後は戦火を避けた公家・僧侶が多く来住し,ザビエルらの宣教師,雪舟らの画僧・文化人が集まり,小京都といわれた。大内氏滅亡後衰えたが,幕末,毛利氏が萩から移り再び政治の中心地となった。1929年市制施行。

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事典・日本の観光資源 「山口」の解説

山口

(静岡県湖西市)
美しい日本のむら景観100選」指定の観光名所。

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普及版 字通 「山口」の読み・字形・画数・意味

【山口】さんこう

山あい。

字通「山」の項目を見る

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日本歴史地名大系 「山口」の解説

山口
やまぐち

[現在地名]上田市大字上田

太郎たろう山と東太郎山の間の黄金沢こがねざわの谷口にある扇状地上の集落。近世には山口村とよばれた。東は大久保おおくぼ村、西は房山ぼうやま村、南は染屋そめや村と境をなしている。初め房山村に含まれていたが、承応年間(一六五二―五五)に分村(上田市史)。承応三年の山口村田畑貫高之御帳(「望月文書」上田市立博物館蔵)に上田城築城のあと城下囲として移住を命ぜられた房山村や山口村の原住地であった。「ゑん明寺・六工・古町・向原・和具」などが耕地名となって記されている。寛文八年(一六六八)支郷として蛇沢へびさわ金井かないができた(小県郡年表)

宝永三年(一七〇六)の小県郡房山村指出帳(上田藩村明細帳)には「枝郷山口村」と記されている。

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世界大百科事典内の山口の言及

【南郷[村]】より

…東西を急峻な山地に囲まれ,中央を北流する只見川上流の伊南(いな)川流域に集落が点在する。中心集落の山口は,只見や田島から奥会津へ向かう沼田街道と田島街道(国道289号線)の分岐点として発達した。就業人口の30%が農林業に従事するが,村域の大部分は山地で国有林が多く,耕地は伊南川沿岸に限られ,しかも冬季の積雪量が170cmにも及ぶため農業条件は厳しいが,生食用の〈南郷トマト〉は首都圏にも出荷されている。…

※「山口」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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