精選版 日本国語大辞典 「萩」の意味・読み・例文・類語
はぎ【萩】
〘名〙
① マメ科ハギ属の落葉低木または多年草の総称。特にヤマハギをさすことが多い。秋の七草の一つ。茎の下部は木質化している。葉は三小葉からなり互生する。夏から秋にかけ、葉腋に総状花序を出し、紅紫色ないし白色の蝶形花をつける。豆果は扁平で小さい。ヤマハギ・マルバハギ・ミヤギノハギなど。はぎくさ。《季・秋》
※播磨風土記(715頃)揖保「一夜の間に、萩一根生ひき」
② 襲(かさね)の色目の名。また、その色目の衣。夏の萩の襲には、表が青で裏が赤または紫、秋の萩の襲には、表が蘇芳(すおう)で裏は萌葱(もえぎ)。織色では経青、緯蘇芳の表で、裏は青とする。はぎがさね。はぎの衣(きぬ)。
※枕(10C終)一四三「朽葉の唐衣、薄色の裳に、紫苑・はぎなど、をかしうて」
③ ①を図案化した模様。萩の図柄。
※橋づくし(1956)〈三島由紀夫〉「花柳界では一般に、夏は萩、冬は遠山の衣裳を着ると、妊娠するといふ迷信がある」
④ 紋所の名。①の花・葉・枝を図案化したもの。抱き萩、萩の丸などがある。

⑤ おはぎ。ぼたもち。萩の餠。
※雑俳・桜がり(1730)「うまいもの・宮城野よりも重の萩」
⑥ 花札で、七月を表わす札。萩に猪の図柄の一〇点札と、萩に短冊の五点札各一枚および萩の図のみの一点札二枚がある。
[語誌](1)「秋はぎ」とも呼ばれるように秋を代表する植物で、「万葉集」では秋の七草の筆頭に挙げられ、植物を詠んだ中で最も歌数が多い。もと「芽」「芽子」と表記された。
(2)平安時代以降、鹿、露、雁、雨、風などと組み合わせて、花だけでなく下葉や枝も作詠の対象となり、歌合の題としても用いられた。特に鹿や露との組み合わせは多く、「鹿の妻」「鹿鳴草」などの異名も生まれた。一方、露は、萩の枝をしなわせるありさまや、露による花や葉の変化などが歌われ、また、「涙」の比喩ともされ、「萩の下露」は、「荻の上風」と対として秋の寂寥感を表現するなどさまざまな相をもって詠まれた。
(3)「古今‐恋四」の「宮木野のもとあらのこはぎつゆをおもみ風をまつごと君をこそまて〈よみ人しらず〉」などから、陸奥の歌枕の宮城野との結びつきが強い。
(2)平安時代以降、鹿、露、雁、雨、風などと組み合わせて、花だけでなく下葉や枝も作詠の対象となり、歌合の題としても用いられた。特に鹿や露との組み合わせは多く、「鹿の妻」「鹿鳴草」などの異名も生まれた。一方、露は、萩の枝をしなわせるありさまや、露による花や葉の変化などが歌われ、また、「涙」の比喩ともされ、「萩の下露」は、「荻の上風」と対として秋の寂寥感を表現するなどさまざまな相をもって詠まれた。
(3)「古今‐恋四」の「宮木野のもとあらのこはぎつゆをおもみ風をまつごと君をこそまて〈よみ人しらず〉」などから、陸奥の歌枕の宮城野との結びつきが強い。
はぎ【萩】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報