秋吉台
あきよしだい
山口県西部、美祢(みね)市にある日本最大の石灰岩台地。面積は約130平方キロメートルに及ぶ。特異なカルスト地形の発達によって、学術上、観光上広く知られ、その主要部は秋吉台国定公園となっている。また、秋吉台地下水系は2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。
厚東(ことう)川によって二分され、その東部が狭義の秋吉台で、秋芳洞(あきよしどう)(特別天然記念物)や地獄台がある。秋吉石灰岩は、灰白色で割れ目の多い緻密(ちみつ)な岩質で、多種類のフズリナやサンゴなどの化石を含み、古生代石炭紀、ペルム紀(二畳紀)の示準化石として知られる。秋吉台は秋吉造山運動とよばれる複雑な地殻変動を解明する重要な研究地となっている。台面の高度は200~400メートル、小起伏の高原となり、無数のドリーネとよばれる凹地が発達しており、地獄台や剣山(つるぎやま)のように広く石灰岩柱が裸出してカレンフェルトとよばれる特異な景観を示す所もある。台上は毎年春先に行われる山焼きによって広く草原となり一部は牧場や果樹園に利用される。台麓(だいろく)には多くの湧泉(ゆうせん)や湧水洞があって台地周辺の水田の灌漑(かんがい)用水源となり、マスの養殖にも利用。厚東川より西の台地では石灰石の採掘が行われ、採掘場には宇部興産などの工場がある。大理石は全国一の生産をあげる。東海道・山陽新幹線新山口駅などからバスが通じる。
[三浦 肇]
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デジタル大辞泉
「秋吉台」の意味・読み・例文・類語
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あきよしだい【秋吉台】
山口県美祢
(みね)郡
秋芳(しゅうほう)町を中心とする石灰岩台地。一部は
国定公園。
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秋吉台
(山口県美祢郡美東町・秋芳町)
「日本百景」指定の観光名所。
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あきよしだい【秋吉台】
山口県西部,美祢(みね)市,秋芳(しゆうほう)町,美東町にまたがる日本最大の石灰岩台地。面積約130km2。急斜面で囲まれた台地は標高200~400mのゆるやかな高原状の地形をなし,厚東(ことう)川が中央を二分して南流している。その東部が狭義の秋吉台で国定公園となり,その主要部が1964年特別天然記念物に指定された。秋吉石灰岩は古生代石炭紀~二畳紀に形成されたサンゴ礁の堆積物からなり,フズリナやサンゴ,腕足類,ウミユリなどの化石を豊富に産し,とくにアキヨシエラと呼ばれるものをはじめ120種以上ものフズリナが発見されており,古生代の示準化石として有名である。
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世界大百科事典内の秋吉台の言及
【カルスト地形】より
…これらのドリーネは,しばしばある方向に並んで分布し,地層の傾きや節理,断層系など地質構造の影響を表すことが多い。山口県の秋吉台は,約130km2にわたって古生代の石灰岩が分布する日本最大のカルスト地域であるが,ここではドリーネ景観がよく発達し,もっとも多いところでは,1km2当り120~140個のドリーネが数えられる。アメリカ合衆国のインディアナ州オレンジ地方の石灰岩地では,1km2当り400個のドリーネ密度をもつところがある。…
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