先(漢字)

普及版 字通 「先(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音] セン
[字訓] さき・まず

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
之(し)+人。之は趾(あし)の形。人の趾先をいう。趾を人の上にしるすのは、見・(望)・聞の初形が目や耳を人の上に加える形に作るのと同じ。その主とする行為を示す方法で、先は先行の意。〔説文〕八下に「するなり」と先・(前)の畳韻を以て訓する。は、もと趾指の爪を切る意で、剪の初文。の初文はで、は洗の初文。舟(盤)で止(趾)を洗う意である。先は先行。卜辞に先行を卜する例が多く、もと除道のために人を派遣することをいう。先行のために、羌族のような異族、あるいは供人と呼ばれる生口(奴隷として献上されたもの)の類を用いた。のち騎馬の俗が行われるようになって、先馬走・先駆という。先後は前後と同じく、時間にも場所にもいう。

[訓義]
1. さき、まえ。
2. さきだつ、さきがけ。
3. むかし、以前。
4. 死者先祖
5. さきぶれ、まえぶれ、てびき。
6. まず、さきに、はやく、つとに、おいこす。

[古辞書の訓]
名義抄〕先 サキ・マヅ・サキダツ・ハヤク・ハジメ・ススム

[部首]
〔説文〕に(しん)を属し、〔玉〕になお偵の異文を属する。を〔説文〕八下に「むなり」とし、〔玉〕に衆多の意とする。〔詩、周南、斯(しゆうし)〕「斯の (しんしん)たり」のを〔三家詩〕にに作り、〔広雅、釈詁三〕に「多なり」と訓するのと同義。

[声系]
〔説文〕に先声として跣・・洗など九字を収める。にも作り、衆多の意に用いる。

[語系]
先syen、)tzianは声義近く、先は足の趾先、外から帰って趾先を清めるのを(洗の初文)、清めのため爪を切るのを+刀、剪の初文)、は洗の繁文という関係である。

[熟語]
先意・先引先景先塋・先河・先覚・先格・先軌・先駆・先君先決先見・先賢・先厳・先古・先故・先後・先公・先后・先行・先考・先蚕・先師・先士・先子・先志・先祀・先次先識・先室・先日・先儒・先緒・先倡・先蹤・先唱・先進・先秦・先親先人・先炊・先世・先正・先生・先聖・先声・先醒・先祖先代・先沢先達・先知・先朝・先哲・先天・先登・先頭・先道先導・先入先年・先農・先馬・先輩先発・先妣・先非先鞭・先偏先鋒・先民・先務・先銘・先・先憂・先容先例・先霊・先烈・先路・先輅・先
[下接語]
機先・居先・古先・後先・最先・在先・事先・取先・推先・祖先・争先・帥先・率先・奪先・聘先・民先・優先

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報