広雅(読み)コウガ(英語表記)Guǎng yǎ

デジタル大辞泉 「広雅」の意味・読み・例文・類語

こうが〔クワウガ〕【広雅】

中国字書。10巻。魏の張揖ちょうゆう編。「爾雅」にならって19項目に分類し、漢代の学者注釈などを増補したもの。のち、隋の曹憲が音釈を加えて、「博雅」と改題した。

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精選版 日本国語大辞典 「広雅」の意味・読み・例文・類語

こうが クヮウガ【広雅】

中国の訓詁書。一〇巻。魏の張揖(ちょうゆう)撰。「爾雅」の体裁にならって、釈詁、釈言、釈訓など一九目に分類し、漢代の注釈や「説文解字」「三蒼」などの諸書を増補したもの。隋の曹憲が音釈を加えて、煬帝の諱(いみな)を避けて書名を「博雅」とし、二名併用されている。注釈書として、清の王念孫の「広雅疏証」一〇巻がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「広雅」の意味・わかりやすい解説

広雅 (こうが)
Guǎng yǎ

訓詁形式の字書。中国,魏の張揖(ちようゆう)著。著者の〈上広雅表〉によれば,もともと上・中・下3巻の構成であったが,隋の曹憲が音釈を作ったとき10巻に分け,かつ隋の煬帝(ようだい)の諱(いみな),広を避けて《博雅》と呼んだため,以後《博雅》ともいわれた。〈雅〉は《爾雅》の意味で,〈広爾雅〉すなわち《爾雅》増補版たることを意図する。編分けも《爾雅》に従い,訓詁も〈A,B,C……はXなり〉という《爾雅》式だが,《爾雅》そのものを内に含み込んでいるわけではなく,重複はしない。注釈として清の王念孫の《広雅疏証》10巻が最もすぐれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「広雅」の意味・わかりやすい解説

広雅
こうが
Guang-ya

中国,三国時代の字書。張揖 (ちょうゆう) の著。 10巻。魏の太和年間 (227~232) 成立。『爾雅』と同系統のいわゆる古い訓詁の字書。『爾雅』の旧目に拠りつつ,さらに他の諸書から広く内容をとったので『広雅』と称した。隋代,時の煬帝の諱を避けて『博雅』と改めたことがあり,今日でも両様に呼ばれる。清の王念孫の『広雅疏証』が注釈書としてすぐれる。

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世界大百科事典(旧版)内の広雅の言及

【文字学】より

…一般に訓詁(くんこ)の書といわれ,その成立年代は明らかでないが,前漢の作といわれる。のち,この体例にならったものが多く,その最も早いものに魏の張揖(ちようゆう)の《広雅》がある。古語ではなくして,方言を整理収録したものに揚雄の《方言》がある。…

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