精選版 日本国語大辞典 「先生」の意味・読み・例文・類語
せん‐せい【先生】
〘名〙
① 先に生まれた人。年長者。
※六代勝事記(1223‐24頃)「ゆゑにいささか先生の徳失をのこし。おのづから後生の宦学をすすめむ事」 〔爾雅‐釈親〕
② 学芸に長じた人。学者。
※菅家文草(900頃)一・寄巨先生乞画図「先生幸許二禁闈遊一、更恐時光不二暫留一」
※随筆・燕石雑志(1811)二「今の詩歌者流相共に先生と称し、大人と称す」
③ 医師など、その道の専門家、指導的立場の者などを敬っていう語。
※魔風恋風(1903)〈小杉天外〉意外「受持医(センセイ)がお帰りになったさうですから」
※譬喩尽(1786)八「先生古より師匠の号とす」
※続々鳩翁道話(1838)一「お医者さまにも成らず、先生にもならず、又御出家にもならず」
⑤ からかうような気持で、他人をあなどっていう語。やっこさん。大将。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「戻駕を語る所が。先生(センセイ)よめねへときてゐるから」
⑥ (代名詞的に、接尾語として) 相手とする師や、教員、医師、議員などを尊敬して呼ぶ語。かなり高い敬意を有するが、江戸時代には、狂歌師、幇間、しっかい屋などの通人、もしくは遊里関係にも用いられた。時に⑤のように、からかい気分で用いることがある。
※談義本・風流志道軒伝(1763)一「浅之進進(すすみ)出て申しけるは、『謹んで先生の教を受(うく)』」
※雑俳・柳多留‐初(1765)「先生と呼んで灰ふき捨させる」
せん‐じょう ‥ジャウ【先生】
〘名〙 (古くは「ぜんしょう」「ぜんじょう」とも)
① 師。せんせい。
※書紀(720)皇極三年正月(岩崎本室町時代訓)「自ら周孔(しうこう)の教を南淵(みなふちの)先生(セムシャウ)の所に学(まな)ぶ」
② 春宮坊の帯刀(たちはき)の長官。
※吾妻鏡‐治承四年(1180)九月七日「源氏木曾冠者義仲主者、帯刀先生義賢二男也」
③ =ぜんしょう(前生)
※霊異記(810‐824)中「憍慢経に云はく先生に位の上の人、尺迦牟尼仏の頂を履に佩きて踟む人等の罪云々といへり」
シー‐サン【先生】
※帰郷(1948)〈大仏次郎〉無名氏「若主人の葉氏は、そこの戸口から入ると、『シイサン(先生)』と呼んだ」
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