が【我】
〘名〙
① 仏語。人間の個体全体。また、その個体の中心生命。存在の構成要素としての実体。⇔
無我(むが)。
※法華義疏(7C前)譬喩品「其身長大、譬二我大色少一」
② 考えや決意などを固く守り抜こうとする心。意地。
※池田宣政文書‐天正一二年(1584)四月一一日・羽柴秀吉書状「せひともがを御いたし候て、御なけきをやめられ、両人のこともたちのき御きもをいられ候はは」
③ 自分勝手なことを主張して、人に従おうとしない心。わがまま。我意。
※こゝろ(1914)〈夏目漱石〉下「私は此点に於ても充分私の我(ガ)を認めてゐます」 〔論語‐子罕〕
④ 認識、意志、行動の主体として、他から区別される自分。自我。〔哲学字彙(1881)〕
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デジタル大辞泉
「我」の意味・読み・例文・類語
わ【我/×吾/和】
[代]一人称の人代名詞。われ。わたくし。
「大野山霧立ち渡る―が嘆くおきその風に霧立ち渡る」〈万・七九九〉
[接頭]名詞・代名詞に付く。
1 親愛の情を表す。「―おとこ」「―ぎみ」
「保つべき様を知らねば、―主の為には益あらじ」〈今昔・二七・四〇〉
2 軽んじあなどる気持ちを表す。
「―法師めが、人あなづりして」〈著聞集・一〇〉
が【我】
1 われ。自分。自我。「我の意識」
2 自分の意志や考えを言い張って、人の言葉に従わないこと。わがまま。「あくまでも我を張り通す」
3 《〈梵〉ātmanの訳》仏語。人間の個体そのもの。また、その個体の中心生命。
[類語]意地・我意
わぬ【▽我/×吾】
[代]一人称の人代名詞。「われ」の上代東国方言。
「うべ児なは―に恋ふなも立と月のぬがなへ行けば恋しかるなも」〈万・三四七六〉
わろ【▽我】
[代]「われ」の上代東国方言。
「―旅は旅と思ほど家にして子持ち痩すらむ我が妻かなしも」〈万・四三四三〉
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世界大百科事典内の我の言及
【アートマン】より
…サンスクリット語で,インド哲学において自我をあらわす術語。〈我(が)〉と漢訳される。…
【無我説】より
…固定的実体的な自己(我,アートマンātman)は存在しないとみる仏教独自の思想。サンスクリットでナイラートミヤ・バーダnairātmya‐vāda。…
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