デジタル大辞泉
「己」の意味・読み・例文・類語
こ【己】[漢字項目]
[音]コ(呉) キ(漢) [訓]おのれ つちのと
[学習漢字]6年
〈コ〉おのれ。自分。「一己・自己・利己」
〈キ〉おのれ。「克己・知己」
[名のり]おと・な・み
な【▽己/×汝】
[代]
1 一人称の人代名詞。わたくし。自分。
「常世辺に住むべきものを剣大刀―が心からおそやこの君」〈万・一七四一〉
2 二人称の人代名詞。あなた。おまえ。なんじ。
「千鳥鳴く佐保の川門の瀬を広み打橋渡す―が来と思へば」〈万・五二八〉
[補説]もと一人称であったものが、二人称に転用されたもの。
おどれ【▽己】
[代]《「おのれ」の音変化》二人称の人代名詞。相手をののしっていう語。きさま。うぬ。
「―はろくなことをしくさらん」〈黒島・二銭銅貨〉
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おの‐れ【己】
[1] 〘代名〙
① (
反射指示) その人、またはそのもの自身をさす。自分。
※万葉(8C後)一六・三八八三「彌彦(いやひこ)於能礼(オノレ)神さび青雲のたなびく日すら小雨そほ降る」
※源氏(1001‐14頃)
夕顔「白き花ぞおのれひとりゑみの眉開けたる」
②
自称。卑下の意をもつ場合に用いることが多い。われ。わたくし。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「山のあるじ、俊蔭にのたまふ『をのれは
天上より来たり給し人の御子どもなり』」
③
対称。目下の者に対するか、あるいは相手を見下し、またはののしる時に用いる。
※万葉(8C後)一二・三〇九八「於能礼
(オノレ)ゆゑ詈
(の)らえて居れば
馬
(あをうま)の面高夫駄に乗りて来べしや」
※竹取(9C末‐10C初)「かくや姫は、罪をつくり給へりければ、かく賤しきをのれがもとに、しばしおはしつる也」
[2] 〘副〙 自分自身で。自然に。ひとりでに。おのれと。
※源氏(1001‐14頃)末摘花「橘の木の埋もれたる、御随身召してはらはせ給ふ。うらやみ顔に、松の木のをのれ起きかへりて」
[3] 〘感動〙 相手に激して強く呼びかける時のことば。やい。また、単に自ら発奮する時にも用いる。うぬ。えい。
※今昔(1120頃か)二七「然て、季武が云なる様、いで抱かむ、己と」
[語誌](一)は上代から用いられ、同じ
人称代名詞「おの」が助詞「が」を伴うか、あるいは直接
体言に冠して用いられるのに対し、単独で用いられる場合が多い。
おの【己】
〘代名〙
① (反射指示) その人、またはそのもの自身をさす語。自分。
※
古事記(712)中・
歌謡「御真木入日子
(みまきいりびこ)はや 御真木入日子はや 意能
(オノ)が命
(を)を 盗み死せむと」
② 自称。われ。
※
落窪(10C後)三「まだ幼くておのがもとにわたり給ひにしかば、我が子となん思ひ聞えしを」
③ 対称。おまえ。
※
古本説話集(1130頃か)二八「いつ
法師にはなりしぞ。した
みつとてありし、をのがむすめは、いづちかいにし」
[
補注]助詞「が」を伴うか、あるいは体言に直接冠した形で用いられ、独立しては用いられない。→
おのが・
おのれ
おどれ【己】
〘代名〙 (「おのれ(己)」の変化した語) 対称。相手をいやしめののしっていう。うぬ。おまえ。きさま。
※かた言(1650)三「うぬ、うぬめ、をどれ、しどれなどいふことはあしかるべし」
※二銭銅貨(1926)〈
黒島伝治〉三「畜生! おどれはろくなことをしくさらん!」
つち‐の‐と【己】
〘名〙 (土の弟の意) 十干
(じっかん)の第六番目。
五行説によって、
五行の土に十干の己
(き)を配したもの。き。
おぬ【己】
〘代名〙 (「おの(己)」の変化した語) 自称。おのれ。
※虎明本狂言・
枕物狂(室町末‐近世初)「あふ夜は君のたまくら、こぬよはおぬが袖まくら」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
己
十干の一つ。五行の土行のうち、陰の土をあらわす。自然界では、素朴な畑や田園の土に例えられる。穏やかで、粘り強く万物を育成していく性質がある。
出典 占い学校 アカデメイア・カレッジ占い用語集について 情報