精選版 日本国語大辞典 「某」の意味・読み・例文・類語
それ‐がし【某】
〘代名〙
① 他称。名の不明な人・事物をばくぜんとさし示す。また、故意に名を伏せたり、名を明示する必要のない場合にも用いる。
※半井本保元(1220頃か)中「某候ふ某候ふと、音々に名乗り申しければ」
[補注]「それがし」が自称にも用いられはじめたのは、「なにがし」の場合よりやや遅い。
ぼう【某】
[1] 〘名〙 人の名前や、地名、場所、時などについて、それとはっきりわからない場合、あるいは、それとはっきり示さず表現する場合に用いる。他の名詞とともに使われることも多い。「学生某」「田中某」「某教師」「某会社」など。
[2] 〘代名〙 自称。男性が自己をへりくだっていう。それがし。
※明衡往来(11C中か)中本「某稽首敬白」 〔孟棨‐人面桃花〕
くれ【某】
〘代名〙 不定称の人称代名詞。「何」という語と並べて用い、名を知らない人、それと定めない人、または名がわかっていてもぼかしていう場合に使う。事物にも使用する。「くれがし」「なにくれ」と熟しても用いられる。
か‐がし【某】
〘代名〙 不定称。名のわからない人、または、いちいち名をあげない人をさす。だれそれ。「なにがし」と対にして用いることが多い。くれがし。
くれ‐がし【某】
〘代名〙 人称代名詞。不定称。人の名を誰とはっきり指示しないでいう語。だれそれ。なにがし。それがし。くれ。
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