一身(読み)いっしん

精選版 日本国語大辞典 「一身」の意味・読み・例文・類語

いっ‐しん【一身】

〘名〙
① 一つの身体。ひとりの人。
※性霊集‐一(835頃)山中有何楽「一身三密過塵滴」
方丈記(1212)「ほどせばしといへども、夜臥す床(ゆか)あり、昼居る座あり、一身をやどすに不足なし」 〔史記‐匈奴伝〕
自分自身自分ひとり。
※殿暦‐康和二年(1100)正月九日「早旦一身管弦、兼琵琶、箏、笛、拍子、歌次見馬」
※浄瑠璃・国性爺合戦(1715)三「一身の外味方なしとは、日本を出る時よりかくごのまへ」
③ からだ全体。全身総身
今昔(1120頃か)二四「一身ゆふゆふと腫たる者」 〔蜀志‐趙雲伝裴注〕

ひとつ‐み【一身】

〘名〙
① 人一人のからだ。ひとり。いっしん。
俳諧・細少石(1668)春上「ひとつ身といはん小梅の花衣〈友清〉」
区別のない同じような身。
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「たかきもいやしきも女はひとつ身なり」
並幅の布一枚を身頃にした、背縫のない着物。また、その仕立て方。一、二歳ごろまでの子ども衣服
※雑俳・柳多留‐一〇(1775)「一つ身を前からきせる大さわぎ」

ひと‐み【一身】

〘名〙 からだ全体。全身。
※宇治拾遺(1221頃)三「あぶ、はち、むかで、とかげ、くちなはなど出でて、目はなともいはず、ひと身にとりつきて刺せども」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「一身」の意味・読み・例文・類語

いっ‐しん【一身】

一人のからだ。一人の人。
自分一人。おのれ自身。「衆望一身に集める」「責任一身に負う」
全身。自分の命。「一身して事に当たる」
[類語]本人当人当事者当方張本人自ら自分自身自己おのれわれ自分自身

ひと‐み【一身】

からだ全体。全身。
あぶ…など出でて、目鼻ともいはず、―にとりつきて刺せども」〈宇治拾遺・三〉

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