津島神社(読み)ツシマジンジャ

デジタル大辞泉 「津島神社」の意味・読み・例文・類語

つしま‐じんじゃ【津島神社】

愛知県津島市神明町にある神社。祭神は建速須佐之男命たけはやすさのおのみこと大穴牟遅命おおなむちのみこと牛頭天王ごずてんのう社。

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精選版 日本国語大辞典 「津島神社」の意味・読み・例文・類語

つしま‐じんじゃ【津島神社】

愛知県津島市神明町にある神社。旧国幣小社。祭神は建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)大己貴命(おおなむちのみこと)欽明天皇元年(五三九)のころの創立と伝えられる。七月末に行なわれる津島祭は船祭で名高い。天王様

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日本歴史地名大系 「津島神社」の解説

津島神社
つしまじんじや

[現在地名]津島市神明町

明治三二年(一八九九)に廃川となった佐屋さや川と天明五年(一七八五)の築留工事で入江となった天王てんのう川に挟まれた向島むこうじま(天王島・神島)にある。緑の大樹に囲まれた尾張造の丹塗社殿。「浪合記」に「後村上院、建徳元年正月二十五日、正一位を授け日本惣社と号す」とある。主祭神は建速須佐之男命。旧国幣小社。

承安五年(一一七五)正月一八日書写の大般若経巻二百三十一奥印記勧請文(七寺蔵)に「伊勢内外(中略)多度・津嶋・南宮・千代」とあるのが、文献上の初見である。津島は式内社ではないが、式内大社の伊勢国多度たど(現三重県桑名郡多度町)・美濃国南宮なんぐう(現岐阜県不破郡垂井町)と同じ扱いを受けていることが知られる。「吾妻鏡」文治四年(一一八八)二月二日条の関東から京都に進めた御事書に「修理大夫家 尾張国津嶋社板垣冠者、不所当之由事」とあって、津島社の板垣冠者が参議藤原親信の荘園年貢所当を弁納しなかったことを訴えられたが、却下無処置になっている。

一二世紀段階では「津嶋社」とよばれたが、以後、明治元年の神仏分離までは津島牛頭ごず天王・津島天王、また単に牛頭天王・天王とよばれた。延応二年(一二四〇)銘と判読される鋳造鉄灯籠(津島神社蔵、県指定文化財)銘文に「天王御宝前奉灯籠一宇」とあるのが「天王」の初見であり、応永一〇年(一四〇三)梵鐘銘(津島神社蔵)に「津嶋牛頭天王」とある。

津島神社
つしまじんじや

[現在地名]田原本町祇園町

旧村社。祭神は素盞嗚すさのお命・誉田別ほんだわけ命・武甕槌たけみかづち命・経津主ふつぬし命・天児屋根あめのこやね命・比売ひめ大神。当社の棟札写(田原本藩日記)に「天治二年巳年九月十五日建之」とある。もと祇園社と称した。近世初期に平野長泰が入封した際、郷里尾張の津島神社(現愛知県津島市)と祭神を一にすることにより崇敬した。延享三年(一七四六)の寺院本末帳(内閣文庫蔵)は境内の黄檗宗神宮じんぐう寺を記し、神宮寺感身かんじん院とも称していたが、明治の神仏分離で廃され、現社名に改めたという。

津島神社
つしまじんじや

[現在地名]迫町佐沼 西佐沼

佐沼さぬま八日ようか町の突当り、家中小路に属する横丁の東端に位置する。祭神は素盞嗚命。近世には祇園天王ぎおんてんのう社と称し佐沼総鎮守であった。「登米郡史」によれば、文治五年(一一八九)源頼朝が奥州合戦のとき戦勝を祈念し、勝利後北方きたかた日向ひなたに勧請し、羽生河内守定義に守護せしめたという。天正一九年(一五九一)津田氏の移封とともに、佐沼町に遷座したとある。社地は四九間に一八間余、社殿は本殿が一間作、拝殿九尺作(縦三間・横二間)で縦五間半・横二間の長床がついている。

津島神社
つしまじんじや

[現在地名]墨俣町墨俣

長良大橋の北西、江戸時代の美濃路墨俣宿の街道沿いにある。津島神社(現愛知県津島市)の分社で祭神は素盞嗚命。牛頭天王・天王様とも通称され、往古から墨俣宿惣中に信徒をもち、天王講中が諸行事を行う。寛政三年(一七九一)一月に石灯籠を奉納する際、琉球国使節の通行があり、当社の肝煎は通行記念にと石灯籠の刻銘文を願った。石灯籠は当社の東脇に現存し、竿部に「牛頭王 常夜燈 乾隆五十六年正月吉旦 琉球国儀衛正 毛廷柱書」と刻まれ、基石に天王講中八人と墨俣惣中の代表五人の名がみえる。

津島神社
つしまじんじや

[現在地名]神岡町山田

山田やまだ川西岸山麓、通称天の森てんのもりにあり、祭神は健速須佐之男神・五十猛神。「飛騨国中案内」では、「宮森牛頭天王宮此境内九畝十八歩、石動権現宮此境内五畝二十歩、比多木曾権現宮此境内五畝歩」とある。明治元年(一八六八)従来牛頭天王宮と称したものを津島神社と改め、比良木曾神社・石動神社を合祀。

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改訂新版 世界大百科事典 「津島神社」の意味・わかりやすい解説

津島神社 (つしまじんじゃ)

愛知県津島市に鎮座。旧国幣小社。建速須佐之男(たけはやすさのお)命を主神とし大穴牟遅(おおなむち)命を配祀。古くは牛頭天王(ごずてんのう)といわれ,俗に天王さんと称す。全国の津島神社の総本社。式内社ではないが,社伝によると欽明天皇のころの創祀といわれ,12世紀末ころすでにこの地の大社として崇敬を受け,織田・豊臣・徳川の三家より特別の尊崇と庇護を受けた。ことに疫病退散の神として信仰され,寛政年中(1789-1801)には社家社僧が32人おり,氷室神主家を筆頭に社坊があって偉容を誇った。しかし明治の神仏分離で仏教的要素は除かれた。例祭は世に津島祭天王祭と呼ばれて有名。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「津島神社」の意味・わかりやすい解説

津島神社
つしまじんじゃ

愛知県津島市神明町に鎮座。建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)、大穴牟遅命(おおなむちのみこと)を祀(まつ)る。古くは津島牛頭天王社(ごずてんのうしゃ)と称し、創建年代は不明だが、社伝では欽明(きんめい)天皇の御代(みよ)と伝える。戦国時代、織田信長は当社を氏神として尊信し、1598年(慶長3)豊臣(とよとみ)秀吉が社領を寄進し、社殿を修復している。現在の楼門は1591年(天正19)、本殿は1605年(慶長10)の建築で、いずれも国の重要文化財。ほかに大原真守作の太刀(たち)、長船長光(おさふねながみつ)作の剣が国の重要文化財。旧国幣小社。例祭は6月15日。津島川祭(尾張(おわり)津島天王祭)は、7月第4土曜夜の宵祭(よいまつり)(提灯(ちょうちん)祭)と翌日の朝祭(車楽(だんじり)祭)の二つの船祭を中心とする神事。講社大祭には各地の当社講員が年番で太々神楽(だいだいかぐら)を奉納する。

[白山芳太郎]


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百科事典マイペディア 「津島神社」の意味・わかりやすい解説

津島神社【つしまじんじゃ】

愛知県津島市神明町に鎮座。旧国幣小社。素戔嗚(すさのお)尊をまつる。豊臣・徳川氏の尊崇により大社となる。もと牛頭(ごず)天王社と呼ばれた。例祭は6月15日。旧6月14〜15日の津島船祭(天王祭)は夏祭の代表的なもので,だんじり船5隻などが出る。関東・東北地方に分祀社が多く,疫病よけの神としての信仰が厚い。本殿,真守作太刀などは重要文化財。
→関連項目津島[市]天王信仰

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「津島神社」の意味・わかりやすい解説

津島神社
つしまじんじゃ

愛知県津島市神明町に鎮座する元国幣小社。津島牛頭天王社,津島のお天王さまともいう。祭神は,スサノオノミコト,オオナムチノミコト。織田信長により氏神として尊信されたが,古くから疫病厄よけの大神として知られ,全国に約 3000の分霊社がある。例祭 6月15日。7月第4土曜日,日曜日津島天王祭は名高い。

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デジタル大辞泉プラス 「津島神社」の解説

津島神社

愛知県津島市にある神社。祭神は建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)、大穴牟遅命(おおなむちのみこと)。全国約3000社の津島神社の総本社。旧称は津島牛頭(ごず)天王社で、「津島のお天王さま」とも呼ばれる。本殿、楼門は国の重要文化財に指定。夏の天王祭が有名。

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世界大百科事典(旧版)内の津島神社の言及

【津島[市]】より

…人口6万3723(1995)。平安時代末から津島神社の門前町,また伊勢桑名と結ぶ港町として栄え,戦国時代には織田氏の領地となり,六斎市が開かれていた。江戸時代は尾張藩領で代官所が置かれ,藩の奨励で白木綿などの綿織物業が盛んとなった。…

【津島祭】より

…愛知県の津島神社の夏の大祭。津島神社は牛頭天王(ごずてんのう)を祭神とし疫病よけの神として著名で,京都の八坂神社,兵庫の広峰神社とともに天王信仰の中心地として,各地の夏祭に大きな影響を与えた。…

※「津島神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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