デジタル大辞泉
「暮」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
くら・す【暮】
〘他サ五(四)〙
① 日が暮れて暗くなるまで時間を過ごす。時を過ごす。
※万葉(8C後)五・八一八「春さればまづ咲く宿の梅の花ひとり見つつや
春日久良佐
(クラサ)む」 〔
日葡辞書(1603‐04)〕
※
源氏(1001‐14頃)
蓬生「春秋のくらしがたさなども誰にかは愁
(うれ)へ給はむと」
③ (自動詞的に)
生計をたてていく。生活する。世渡りをする。
※虎明本狂言・饅頭(室町末‐近世初)「さんざんにおちぶれ、〈略〉一日一日とくらす
しんだいになって御ざる」
④ 他の動詞の
連用形に接続して、その
行為を一日中し続ける意を表わす。
※万葉(8C後)一七・四〇二〇「越の海の
信濃(しなぬ)の浜を行
(ゆ)き久良之
(クラシ)長き春日も忘れて思へや」
※日葡辞書(1603‐04)「カリ curasu(クラス)〈略〉アソビ curasu(クラス)」
く・れる【暮】
〘自ラ下一〙 く・る 〘自ラ下二〙 (「くらし(暗)」と同源)
①
太陽が沈んであたりが暗くなる。昼が終わって夜になる。
※万葉(8C後)四・四八五「昼は 日の
久流留(クルル)まで 夜は 夜の明くるきはみ」
※
平家(13C前)三「日もくるれ共、あやしの臥どへも帰らず」
② 季節や
年月などが終わりに近づく。
時節が過ぎ去っていこうとする。
※
古今(905‐914)秋下・三一二「ゆふづくよ小倉の山に鳴く鹿の声のうちにや秋はくる
らん〈
紀貫之〉」
※
霊異記(810‐824)上「
所以(このゆゑ)に晩
(ク)れにし年四十余才を以て、更に巖窟に居り。〈興福寺本訓釈 晩 久礼仁之〉」
くれ【暮】
① 太陽が沈みはじめて暗くなりかけた頃。
夕暮れ。
日暮れ。また、日の暮れること。
※万葉(8C後)一四・三四〇二「日の
具礼(グレ)に
碓氷(うすひ)の山を越ゆる日は夫
(せ)なのが袖もさやに振らしつ」
② ある期間の末。終わり。
※源氏(1001‐14頃)薄雲「
殿上人など、なべて、ひとつ色に黒みわたりて、物のはえなき、春のくれなり」
③ 特に、年の終わり。年末。歳暮。《季・冬》
※俳諧・鷹筑波(1638)四「莚(むしろ)こもたたきてわめく露涙 煤(すす)掃(はく)暮に死んでのけたり〈一能〉」
くらし【暮】
〘名〙 (動詞「くらす(暮)」の連用形の名詞化)
① 暮らすこと。時日を過ごすこと。日々の生活を送ること。多く他の語の後に付き、「ぐらし」の形で用いる。
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「家内四人活計(グラシ)で、細君もあれば娘もある」
② 日々の生活。暮らし向き。口すぎ。生計。活計。なりわい。
※俳諧・続猿蓑(1698)上「爼の鱸に水をかけながし〈里圃〉 目利で家はよい暮しなり〈馬莧〉」
③ 生活を営むための費用。生活費。生計費。
※平凡(1907)〈二葉亭四迷〉二「机を持ち出して生計(クラシ)の足しの安翻訳を始める」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報