精選版 日本国語大辞典 「時節」の意味・読み・例文・類語
じ‐せつ【時節】
〘名〙
① 一年のうちで、移り変わってゆく天候や風景などによって感じられるその折の季節。時候。
※懐風藻(751)七夕〈吉智首〉「冉冉逝不レ留、時節忽驚レ秋」
※桐の花(1913)〈北原白秋〉昼の思「なつかしい紫のヂキタリスと苦い珈琲の時節」 〔裴説‐春早寄花下同人詩〕
② 時間。時期。
※平家(13C前)一一「義経身体髪膚を父母にうけて、いくばくの時節をへず故守殿御他界の間」
※天草本伊曾保(1593)雞と下女の事「ニワトリガ ナケレバ、jixetuo(ジセツヲ) ハカルコトガ カナワイデ」
③ ある状態になる時。物事を行なう時機。また、そうするのにふさわしい機会。折(おり)。
※興福寺牒状‐建久九年(1198)一一月一日・興福寺牒状「不レ弁二時節譏嫌一由事」
※謡曲・羅生門(1516頃)「時節を待ちて、また取るべしと、呼ばはる声も、幽かに聞こゆる」
④ その時代その時代の世間の状態や世人の考え方。時世。
※愚管抄(1220)五「かう程にみだれん世は何事もいはれたる事はあるまじき時節なるべし」
※談義本・根無草(1763‐69)前「かかる時節に忠義を尽さずんば、いつの世にかは御恩を報じ奉んや」 〔国語‐晉語八〕
⑤ 各務支考(かがみしこう)の連句付合論に説く七名八体の付方の内、八体の一つ。春夏秋冬の季節や節句、正月などの行事をもって前句に付けること。
⑥ 「じせつみまい(時節見舞)」の略。
※浄瑠璃・金時都いり(1664)四「まづ只今は此ほうよりつかひをもって申べき所に、さうそくじせつにあづかるだん」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報