是(漢字)

普及版 字通 「是(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] ゼ・シ
[字訓] さじ・ただしい・よい・これ・この

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
匙(さじ)の形で、匙(し)の初文。のち是非の意や代名詞などに用いられ、その原義を示す字として匙が作られた。匙は是の形声字である。〔説文〕二下に「直(ただ)しきなり。日と正とに從ふ」とし、〔段注〕に「天下の物、日より正しきは(な)きなり」と説くが、日の部分は先端の(しやく)のところ、下部は止に近い形であるが、その柄。是非の非も、もと非(すきぐし)の象形。これを是非の意に用いるのは、ともに仮借である。

[訓義]
1. さじ、匙の初文。
2. 実と通じ、ただしい、まこと、よい。
3. 此・時と通じ、これ、この。

[古辞書の訓]
名義抄〕是 コレ・ココニ・カカルコト・ヨシ・コトハル・コトハリ・スナハチ・ナホシ・カクノゴトキ・カクノゴトク・タツ 〔立〕是 コレ・ココニ・ナホシ・カカルコト・ヨシ・コトワル・スナハチ・カクノゴトシ・ココヲモテ

[声系]
〔説文〕に是声として・寔・匙・題・提など二十三字を収める。・寔は是と通用の義があり、神事に関する字であることが注意される。是(さじ)は、氏と同じく、氏族共儀礼に際して用いられるものであった。

[語系]
是・氏zjieは同声。氏は(けつ)の初文厥の形に近く、肉を切るナイフ。是はスプーン。いずれも氏族共のときに用いる。氏はのち氏族の意となった。祭肉を分かつ膰(しんぱん)の礼が、血族の間に行われたからである。tjie、zjie、寔zjiekもみな儀礼に関するものらしく、是も氏族共のときの器であったと考えられる。

[熟語]
是以是用是故是是是正・是非是否
[下接語]
因是・求是・国是・自是・社是・如是・真是・誠是・党是・非是・不是・由是

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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