精選版 日本国語大辞典 「道理」の意味・読み・例文・類語
どう‐り ダウ‥【道理】
〘名〙
① 物事のそうあるべきこと。当然のすじみち。正しい論理。
※続日本紀‐養老二年(718)四月癸酉「太政官処分。凡主政主帳者。〈略〉前労徒廃。後苦実多。於レ義商量。甚違二道理一」
※日葡辞書(1603‐04)「Dǒrini(ダウリニ)ハヅルル、または、モルル」 〔戦国策‐秦策・昭襄王〕
② (形動) すじが通っていること。当然であること。もっともであること。
※東大寺文書‐天喜元年(1053)七月・美濃国茜部荘司住人等解「謹案二事情一、東大寺御所領諸国散所、庄園収公荒廃尤道理也」
※虎明本狂言・目近籠骨(室町末‐近世初)「申々、あれがぬかれたが道理で御ざる」
③ 訴訟で、自分の側を正しいとする主張。
※東京大学所蔵東大寺文書‐嘉応元年(1169)八月日・伊賀国黒田荘官等解「御庄官等先日雖レ加二連判一、不レ称二申江八郎貞成道理一、以二強縁一立二我道理一、蒙二御裁定一之条」
④ それぞれの分野での正しいあり方や筋道。ある事柄に関して正当性があること。その事柄を表わす語の下に添えて、「…道理」の形で用いられることが多い。
※東寺百合文書‐京・承保四年(1077)四月一五日・祭主大中臣輔経下文案「使宜二承知一、本寺御使相共、尋二糺公験道理一、可二言上一」
⑤ 特に、文書に明証があること。「文書道理」と熟することが多い。
※東大寺文書‐寛弘八年(1011)一二月・法務大僧正雅慶房帖案「任二文書道理一」
⑥ 人間として守らなければならない道。
※日蓮遺文‐開目抄(1272)「賢王の世には道理かつべし。愚王の世に非道先をすべし」 〔荀子‐脩身〕
[語誌]現代では、物事の正しい筋道・論理・必然性等を広く指すが、古くは、④のように種々の物事についての個別的な筋道・正当性・論拠などの意でも用いられ、特に政治・法律に関わる分野に用例が多い。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報