普及版 字通 「室(漢字)」の読み・字形・画数・意味
室
常用漢字 9画
[字訓] へや・いえ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
宀(べん)+至。至は矢の至るところ。〔説文〕七下に「實なり」と音義的に解し、また「室屋は皆至に從ふ。止まるなり」(段注本)と、人の至り、止まる意を以て解するが、至は矢の至る意。矢を放って、その造営の地を卜し、祓(はら)うことを意味する。室は祖霊の安んずるところで、いわゆる大室。屋は板屋で殯(かりもがり)する所である。臺(台)も至に従い、天を祀り、神明に接する所をいう。家・冢が犬牲を埋めて基(てんき)し、修祓する儀礼を示す字であるのと同じ。卜辞に中室・南室・血室などの名があり、みな祭祀の場所。また金文の冊命(さくめい)儀礼はすべて宗大室において行われている。金文の〔大豊(たいほうき)〕に「王、天室に祀る」とあり、室とはもと祭祀を行うところをいう。
[訓義]
1. へや、祖霊をまつるへや、奥のへや、奥のま。
2. いえ、家ももと祖霊を祀る霊所を意味した。のち、すまい、すむところ。
3. 家の人すべて、一家、家族。
4. 家室、室家、妻。
5. すべてものの収まるところ、巣、穴倉、刀剣のさや。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕室 无路(むろ)〔名義抄〕室 ムロ・スム・ヨル・トシ・カクフ・サヤ/無室 ウツムロ
[語系]
室sjiet、窒tjietは声義近く、窒は窒塞(ちつそく)し閉蔵する意。室も霊を封じ安んずる意であろう。そこに霊を送ることを致tietという。
[熟語]
室燠▶・室宇▶・室屋▶・室家▶・室外▶・室学▶・室間▶・室居▶・室隅▶・室戸▶・室事▶・室舎▶・室授▶・室処▶・室女▶・室人▶・室族▶・室属▶・室第▶・室宅▶・室堂▶・室内▶・室▶・室婦▶・室廡▶・室律▶・室廬▶・室露▶・室老▶
[下接語]
堊室・庵室・暗室・闇室・営室・王室・屋室・温室・家室・臥室・記室・旧室・宮室・巨室・居室・虚室・教室・空室・窟室・室・継室・瓊室・結室・玄室・公室・皇室・斎室・在室・蚕室・私室・祠室・慈室・書室・丈室・深室・新室・寝室・世室・正室・夕室・石室・先室・宣室・宗室・蔵室・側室・太室・第室・地室・竹室・茶室・帝室・適室・土室・同室・堂室・内室・入室・氷室・室・富室・敝室・別室・便室・室・房室・茅室・満室・密室・幽室・浴室・蘭室・令室・路室・陋室
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報