一段(読み)イチダン

デジタル大辞泉 「一段」の意味・読み・例文・類語

いち‐だん【一段】

[名]
階段などのひときざみ。または、地位技能などの段階一つ。「段位一段上がる」
文章語り物などのひとくぎり。「義太夫一段語る」
[副]比べると、かなりのちがいのあるさま。ひときわ。いっそう。ずっと。「一段(と)りっぱになった」「スピード一段(と)加わる」
アクセントはイダンはイチダン
[類語]更に一層もっとますますいよいよよりも少しもう少しずっと余計なおなおさら弥が上にあと未だ然ももう今一つもう一ついまいち今少しもそっとぐっとぐんとましていわんや数段段違い層一層しのぐうんとだいぶ余程遥かひとしおうたた尚尚なおなおなお以て更なるひときわいや増すなお且つかてて加えてそれどころそればかりかしかのみならずのみならず加うるにおまけにまた且つまた且つこの上その上しかもさてはさなきだに

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一段」の意味・読み・例文・類語

いち‐だん【一段】

[1] 〘名〙
① 文章、語り物などの一区切り。
※延喜式(927)一「中臣進就座宣祝詞。毎一段畢祝部称唯」
太平記(14C後)六「不思議の記文一段(ダン)あり」
② 一つの事柄。一件。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「すっぱり極(きま)ったといふ所で、証文の一段(イチダン)よ」
④ 階段、段階などのひときざみ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
五十音図の横の一列。
[2] 〘副〙
① (多く「と」を伴って用いる) ひときわ程度がはなはだしいさま。きわだっているさま。いっそう。格別に。
※新撰万葉(893‐913)上「終霄対翫凝思処、一段清光照莫窮」
咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)上「一段とそこつ成(なる)小性」
② (「と」を伴い、後に打消の表現を伴って、打消の意を強めることが多い) いっこうに。全く。
※咄本・かす市頓作(1708)三「あたりのむかでをひろひとり、鍔(つば)にのせければ、百足一段と死なず」
[3] 〘形動〙
① ひときわ程度がはなはだしいさま。きわだっているさま。格別の。
御伽草子あきみち(室町末)「人をも人とせず、一だんの曲者なり」
② きわだってすばらしいさま。いっそうよいさま。
※太平記(14C後)三七「一段の清香、人の心を感ぜしむ」
※浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)二「『達者過(すぎ)てめいわくを致ます』『夫(それ)は一段、どこにおいやる、対面したい』」

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普及版 字通 「一段」の読み・字形・画数・意味

【一段】いちだん

ひときわ。

字通「一」の項目を見る

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