大分(読み)だいぶん

精選版 日本国語大辞典 「大分」の意味・読み・例文・類語

だい‐ぶん【大分】

[1] 〘名〙 (形動)
① 数や量の多いこと。金額の大きいことなど。多数。たくさん。だいぶ。
※古文真宝前集抄(1642)一「悪は大分にして善は少し」
※浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)上「手前も大ぶんの損銀」
② 物事の内容や状態の程度が、思ったより大きいさま。かなりなさま。たいしたさま。良い意味にも悪い意味にも用いる。
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第一四「石亀に夫花の火か燃あかり 小の虫より大分の春」
※日本橋(1914)〈泉鏡花〉一〇「それにしても大分(ダイブン)の無沙汰をした」
※御伽草子・酒の泉(室町時代物語大成所収)(室町末)下「いつしか孫太郎大ふんにへあがりてちゃうじゃとなり」
[2] 〘副〙
① 数量が思ったより多いさまを表わす。たくさん。
※浮世草子・好色一代女(1686)四「人は知らぬ事隠居銀大ぶん御座れは」
② 思ったより程度が大きいさまを表わす。かなり。ずいぶん。そうとう。だいぶ。
※和英語林集成(初版)(1867)「Daibun(ダイブン) スズシク ナッタ
※解体の日暮れ(1966)〈杉浦明平〉一四「そういえば三宅さんもだいぶん変わったらしいぞね」

おおいた おほいた【大分】

[一] 大分県中東部の地名県庁所在地。古くは豊国(とよくに)の国府所在地。大友氏以来の旧城下町日豊本線豊肥・久大両本線の分岐する交通の要地。府内。明治四四年(一九一一市制
[二] 大分県の中部の郡。大分川流域にある。旧郡域の東半部は大分市域となっている。〔豊後風土記(732‐739頃)〕

だい‐ぶ【大分】

[1] 〘名〙 (形動) =だいぶん(大分)(一)
※御伽草子・浜出草紙(室町末)「そも鎌倉と申すは、昔は一足踏めば、三町ゆるぐだいぶの沼にて候ひしを」
[2] 〘副〙 =だいぶん(大分)(二)
※史記抄(1477)一五「槐里と云は大ふ西ぞ」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「どうじゃ番頭どの。だいぶ寒くなったの」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「大分」の意味・読み・例文・類語

だい‐ぶ【大分】

[名・形動]数量や程度がかなり多かったり進んでいたりすること。また、そのさま。相当。だいぶん。「彼が去って大分になる」
「おそらく北向の―の沖を越えて」〈緑雨・おぼろ夜〉
[副]思ったよりも数が多かったり、程度がはなはだしかったりするさま。相当。ずいぶん。だいぶん。「本を大分買った」「今日は大分寒い」
可成かな[用法]
[類語]比較的割と割に割りかし割方割合結構大幅随分余程大分だいぶん余っ程ずっとかなり相当なかなか大層すこぶいやにやけにえらい馬鹿ばかましてなおさらいわんやさらに余計一層もっとますますいよいよよりも少しもう少しなお一段いやが上に数段段違い層一層しのぐもそっと今少しぐんとぐっとうんと遥かひとしおうたた尚尚なおなおなお以て更なるひときわいや増すなお且つかてて加えてそれどころそればかりかしかのみならずのみならず加うるにおまけにまた且つまた且つこの上その上しかもさてはさなきだに

おおいた〔おほいた〕【大分】

九州地方北東部の県。もと豊後ぶんご全域と豊前ぶぜん南部にあたる。人口119.6万(2010)。
大分県中部の市。県庁所在地。もと豊後国府の地で、府内とよばれた。戦国時代は大友氏の、江戸時代大給おぎゅう氏らの城下町。別府湾岸は重化学工業地域。人口47.4万(2010)。

だい‐ぶん【大分】

[名・形動]だいぶ(大分)」に同じ。
「それにしても―の無沙汰をした」〈鏡花・日本橋〉
「―な御親類だと友へ言ひ」〈川柳評万句合〉
[副]だいぶ(大分)」に同じ。「水かさが大分ふえた」「このあいだより大分涼しい」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「大分」の読み・字形・画数・意味

【大分】たいぶん

おおよその定め。寿命など。〔南史、隠逸、陶潜伝〕疾患より以來、漸く損に就く。親(わす)れず、(つね)に石の救せらるるるも、自ら大の將(まさ)に限りらんとするをるるなり。

字通「大」の項目を見る

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