水団(読み)スイトン

デジタル大辞泉 「水団」の意味・読み・例文・類語

すい‐とん【水団】

《「とん(団)」は唐音小麦粉団子だんごを入れた汁物
[類語]汁物吸い物あつもの澄まし汁お澄ましつゆお付け味噌汁おみお付け粕汁納豆汁薩摩汁けんちん汁豚汁とろろ汁三平汁のっぺい汁鯉濃こいこく

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精選版 日本国語大辞典 「水団」の意味・読み・例文・類語

すい‐とん【水団】

〘名〙 (「とん」は「団」の唐宋音) 小麦粉などを水でこねて、適当にちぎり、野菜などと共に、味噌汁や醤油味の汁に入れて煮たもの。水飩②。
参天台五台山記(1072‐73)二「有水団炙夫二種菓
※元和本下学集(1617)「水団(スイトン)

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改訂新版 世界大百科事典 「水団」の意味・わかりやすい解説

水団 (すいとん)

小麦粉のだんごを入れた汁。小麦粉をやわらかめにこねて適当にちぎり,みそ汁すまし汁で煮る。野菜その他ありあわせの材料を加えて増量することができ,かつ,調理が簡単なため,1923年の関東大震災時や第2次大戦直後の食糧難時代には主食副食兼用の食事として盛んに行われた。水団,水飩,炊団などと書き,水団の語がまず南北朝あたりから見られるようになる。《異制庭訓往来》以下の往来物点心(てんしん)の品目を列挙する個所に登場してくるのだが,それがどんなものだったのかは,《日葡辞書》がSuitonを〈ある種の料理〉としているように,よくわからない。しかし,どうやら砂糖を包みこんだ葛(くず)粉のだんごではなかったかと思われる。それは伊勢貞丈が砂糖入り粟だんごである〈きんとん〉を,ときに〈すいとん〉と呼ぶとしていること,《北野社家日記》を見ると折りびつに入れて贈物にしていること,つまり汁料理ではなかったこと,などの理由による。そして江戸初期の《料理物語》では,葛粉をこねて短冊形に切り,みそ汁で煮たものになっている。この段階で,すいとんはだんごとうどんあいのこ様の形態をとるようになり,1804年(文化1)の《料理早指南》第4編の〈上々のうどん粉にくずのこ合せ〉という過渡期をへて,現在のような小麦粉のだんご汁になった。1882-83年ごろのこと,東京の日本橋,京橋辺の大通りには夜ごとにすし,汁粉,おでん,そばなどの屋台店が出てにぎわったが,そうした中ですいとん屋が最も繁盛していたと,田山花袋は書いている。
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百科事典マイペディア 「水団」の意味・わかりやすい解説

水団【すいとん】

小麦粉でつくっただんごを肉,野菜とともにすまし汁やみそ汁に入れて煮たもの。古くは小麦粉の代りにアワ粉やクズ粉を用いた。戦後日本の食糧難に主食の代用ともされた。

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世界大百科事典(旧版)内の水団の言及

【金団】より

…ただ一,二の故実書に,不用意に食べると中から砂糖がとびだして顔へかかるから注意すべきだとか,手でつまんで食べるものだとか,書かれている。伊勢貞丈はこのきんとんを,アワのだんごの中に砂糖を入れたもので,色が黄なので〈金団〉といい,夏には氷水にひたして食べることもあるので〈すいとん〉とも呼ぶと記しているが,これは中国宋代に行われていた水団とまったく同じものであった。この砂糖入りだんごのきんとんは,江戸中期からはもち米の粉でつくってでき上りにきな粉をまぶし,あるいは粉をクチナシで黄に染めてつくったりしたが,やがて砂糖のかわりにアズキあんを包んだだんごにし,その上にまたあんをまぶす形式のものになり,さらに変化して現在の菓子のきんとんになった。…

※「水団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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