屋台店(読み)やたいみせ

精選版 日本国語大辞典 「屋台店」の意味・読み・例文・類語

やたい‐みせ【屋台店】

〘名〙
① 町の路傍・あき地などに簡単な屋根・柱つきの台を設け、すし・てんぷら・あん餠などを商う店。特に、江戸での名称。常設の床店(とこみせ)より簡素で露店より臨時的でない。関西では出し店と総称する。
洒落本・中洲雀(1777)「餠菓子干菓子の家台(ヤタイ)見世には買喰の族(やから)蟻の如くに集り」
近代、車に四本の柱をたて屋根を設けて、常に移動しながら焼きいか、おでん燗酒(かんざけ)焼鳥、そばなどの飲食物を商う店。また、自動車などを改造した出店。
※初すがた(1900)〈小杉天外〉八「博物館の門の前を、駄菓子屋屋台(ヤタイミセ)を引いて帰る者がある」

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デジタル大辞泉 「屋台店」の意味・読み・例文・類語

やたい‐みせ【屋台店】

屋台1」に同じ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「屋台店」の意味・わかりやすい解説

屋台店
やたいみせ

屋台とは可動の屋根付き台のことで、屋台店とは屋台を一定の場所に据えて食物を商う据え店のこと。京坂地方ではこれを「出し店」とよび、屋根のない台、移動しない仮小屋をも含めていた。江戸の明和(めいわ)年間(1764~72)ごろに出現し、江戸時代末期には外食風習が広まったこともあり、すし屋てんぷら屋を中心に江戸、京坂地方に数多く存在した。明治以後は都市発展に伴い全国的に広がった。しかし、すし屋、てんぷら屋はしだいに店舗を構えるようになり、焼きとり、おでん類を酒とともに出す店やラーメン屋などが主体となった。このように実態は変化したが、江戸以来の庶民的で気楽な雰囲気は現代もなお続いているといえよう。

[佐々木日嘉里]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「屋台店」の意味・わかりやすい解説

屋台店
やたいみせ

小さな家の形をして,移動できるようにした台を屋台といい,その屋台で商売する店。一定の道ばたなどで常設的に出店するものと,市,縁日,行事や集会などをねらって移動しながら出店するものとがあるが,一般に前者をさし,後者は露店の部類となる。江戸時代末期から全国的なものとなったが,おもに焼鳥やおでん,そば,酒などの食物を商い,今日でも人口の密集した都市にみられる。

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