精選版 日本国語大辞典 「早・速・疾・捷」の意味・読み・例文・類語
はや・い【早・速・疾・捷】
〘形口〙 はや・し 〘形ク〙
[一] 速度が大である。すみやかである。また、敏速で激しい。⇔おそい。
① 動作や作用に時間がかからない。行動や変化の実現に要する時間が短い。迅速である。
※万葉(8C後)七・一二七一「遠くありて雲居に見ゆる妹が家に早(はやく)至らむ歩め黒駒」
※蜻蛉(974頃)中「はやくこなたにいり給へ」
② 動く速度が大である。スピードが大である。
※万葉(8C後)一七・四〇二三「婦負川の波夜伎(ハヤキ)瀬ごとに篝(かがり)さし八十伴の緒は鵜川立ちけり」
③ 人の行為、頭や心の働きが鋭くすぐれている。敏捷である。鋭敏である。すばしこい。さとい。
④ 勢いが激しい。また、心の状態などが、はやって、激しい。
※古今(905‐914)恋三・六六〇「たぎつせのはやき心をなにしかも人めつつみのせきとどむらん〈よみ人しらず〉」
⑤ (香について) 激しい。きつい。鋭い。
① ある期間にはいってから間がない。早期である。また、時期や時間的に、ふつうより前である。
※万葉(8C後)一二・三〇九五「朝烏(あさがらす)早(はやく)な鳴きそ吾が背子が朝明(あさけ)の姿見れば悲しも」
② その時期に達していない。適当な時間までにまだ間がある。
※延慶本平家(1309‐10)二中「此君の御位余りに早し」
③ (「…するがはやいか」「…するよりはやく」の形で) 物事が時間をおかないで続くさまを表わす。…するやいなや。
[語誌](1)平安時代、「はやし」は、「とし」とともに、和文において用いられ、漢文訓読語「すみやか」と対立的であったとされる。しかし、これら三語は微妙に意味の重点を異にしていた。平安仮名文学作品や「今昔物語集」などの説話集について見るかぎり、「とし」が時期・時刻に重点を置いて早いことをいうのに対し、「はやし」は、動作そのものに重点があって敏速であることを表わす。また、「すみやか」は、遅滞なく、躊躇せずに、といった表現主体の心的作用に重点の置かれる語であるといった傾向がうかがえる。
(2)連用形の「はやく」「はやう」は副詞や名詞に転成することがある。→はやく・はよう。
(2)連用形の「はやく」「はやう」は副詞や名詞に転成することがある。→はやく・はよう。
はや‐げ
〘形動〙
はや‐さ
〘名〙
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報