この‐きみ【此君】
〘名〙 (晉の
王子猷が竹を愛し「何可
三一日無
二此君
一耶」と称したという「
晉書‐王徽之伝」の
故事から) 竹の
異称。
※枕(10C終)一三七「
御簾をもたげてそよろとさし入るる、
呉竹なりけり。『おい、この君にこそ』といひわたるを」
[語誌]
王子猷の故事は、平安初期には
漢詩の
題材として好まれたが、「枕草子」に引かれてから、
和歌の世界でも詠まれた。単に故事を詠み込むのではなく、竹の縁語の「よよ」=「世々」と結びつけて、「このきみといふ名もしるくくれ竹の世々へんまでもたのみてをみん〈
藤原公能〉」〔久安百首‐
慶賀〕のように、相手をことほぐ意味で用いられることが多い。
し‐くん【此君】
〘名〙 (「晉書‐王徽之伝」に「嘗寄
二居空宅中
一、便令
レ種
レ竹、或問
二其故
一、徽之但嘯詠指
レ竹曰、何可
三一日無
二此君
一邪」とある故事から)
植物「
たけ(竹)」の
異名。
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デジタル大辞泉
「此君」の意味・読み・例文・類語
し‐くん【×此君】
《「晋書」王徽之伝の、竹を賞して、「何ぞ一日も此の君無かるべけんや」とある故事から》竹のこと。このきみ。
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普及版 字通
「此君」の読み・字形・画数・意味
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しくん【此君】
鳥取の日本酒。酒名は、竹葉の露が良酒になったという中国の故事の一節「なんぞ此の君なかるべけんや」に由来。純米大吟醸酒「ひわだ屋」、大吟醸酒「此の君」のほか、純米吟醸酒、本醸造酒などがある。平成12、13年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。原料米は山田錦、五百万石など。仕込み水は大山の伏流水と岩倉の湧水。蔵元の「高田酒造」は明治元年(1868)創業。所在地は倉吉市西仲町。
このきみ【此君】
山形の日本酒。酒名は、中国晋代の書家・王子猷の書「一日不可無此君」(此の君無しでは1日も暮らせないの意)にちなみ命名。大吟醸酒、純米酒、本醸造酒などがある。原料米は山田錦、美山錦など。蔵元の「佐藤酒造店」は享保元年(1716)創業。所在地は最上郡最上町大字大堀。
出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報