普及版 字通 「保(漢字)」の読み・字形・画数・意味
保
常用漢字 9画
[字訓] たもつ・たすける・やすんずる
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
人+子+褓(むつき)をかけた形。金文の字形はときにの形に作り、上になお玉を加える。玉は魂振り、褓も霊を包むものとして加えたもので、受霊・魂振りの呪具。生まれた子の儀礼を示す字である。〔説文〕八上に「ふなり」と保養の意とするが、保は聖職者をいい、最高位の人を大保という。王の即位継体の礼を掌る人であった。周初の功臣とされる召公(せき)は、金文に「皇天尹大保」、〔書〕には「君」とよばれ、保・君はいずれも聖職者の号である。〔書、顧命〕では大保召公が康王の継体受霊の儀礼の司会者であった。保の字形に含まれる褓は、わが国の真床襲衾(まとこおふふすま)にあたる。保の諸義は、新生の受霊とその保持の意から演繹されたものである。
[訓義]
1. たもつ、霊をまもる。
2. たすける、やすんずる、まもる、さだめる。
3. やしなう、もりやく。
4. つきそう、やとわれびと。
5. くみあい、くみあいびと。
6. 堡(ほ)と通じ、とりで。
7. 褓と通じ、むつき、霊衣。
8. 宝と通じ、たから。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕保 タモツ・ヤスシ・マモル・ヲリ・ヤシナフ・キル・シル・ヰル・アタル・カナラズ・マコト 〔字鏡集〕保 キル・シル・アリ・ヲリ・マカス・タモツ・マコト・ヰル・ヤシナフ・タノム・ヤスシ・アタル・カナラズ・マモル
[声系]
〔説文〕に保声として襃(褒)・・など五字を収める。襃(ほう)は保を衣中に加えたもので保の繁文に近い。襲衣の意であろう。(ほ)は羽、車に樹(た)てる呪飾。(ほ)はまた褓に作り、むつき。新生の児の受霊のために添える衣をいう。
[語系]
保・褓puは(抱)buと声義近く、保は新生児を負う形であるが、卜文にはときに抱く形に作ることがある。孚・孵phiu、伏biukは孵化に関する字。堡は後起の字で、保塁をいう。
[熟語]
保安▶・保育▶・保衛▶・保介▶・保乂▶・保▶・保完▶・保姦▶・保拠▶・保挙▶・保訓▶・保固▶・保辜▶・保護▶・保甲▶・保塞▶・保子▶・保持▶・保寿▶・保▶・保障▶・保身▶・保真▶・保神▶・保綏▶・保摂▶・保全▶・保存▶・保丁▶・保定▶・保任▶・保寧▶・保傅▶・保壁▶・保母▶・保姆▶・保民▶・保右▶・保有▶・保佑▶・保用▶・保傭▶・保養▶・保釐▶
[下接語]
阿保・永保・応保・確保・拠保・襁保・恵保・師保・自保・酒保・少保・神保・全保・大保・太保・担保・定保・天保・任保・庸保・留保・隣保
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報