漁期
ぎょき
有用な水産生物をとるのに適した時期をいい、「りょうき」ともいう。設定されている漁業あるいは漁獲物について、実際に漁獲しうる期間をいい、資源保護のために禁漁期が設定されている漁業では法的に漁獲が認められている期間である。漁獲対象となる水生生物は、一年中同じ割合でとれるわけではなく、ある時期に多量に漁獲されることが多い。その初期を初漁期、もっとも多くとれる時期を盛漁期、漁期の終期を終漁期という。一般に魚貝類は抱卵期が、海藻類は繁殖期が好漁期となる。また、漁期は種類あるいは漁業ごとに毎年ほぼ一定しているが、海況の変動などで多少のずれがある。たとえば回遊性の魚類では、地方によって漁期が異なり、サンマの例では北海道で8月、東北地方で9、10月、千葉県から静岡県地方では11月と漁期が南下する。また、ブリなどのように1年のうちに北上期と南下期の二度漁期となる地方もある。
[吉原喜好]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ぎょ‐き【漁期】
〘名〙 目的とする魚介類が繁殖し、または回遊してきて漁獲が行なわれる時期。りょうき。
※蟹工船(1929)〈小林多喜二〉九「漁期の過ぎてゆく其の毎年の割に比べて、蟹の高はハッキリ減ってゐた」
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デジタル大辞泉
「漁期」の意味・読み・例文・類語
ぎょ‐き【漁期】
漁獲が行われる時期。目的とする魚介類の漁獲に好適な時期。りょうき。
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ぎょき【漁期 fishing season】
漁業が成立する期間。それが成立するためには,対象となる生物がある密度以上存在するという自然条件と,生産した生物が採捕のコスト以上の値で売れるという社会経済的条件の双方が満たされなければならない。魚がたくさんいても売れなかったり,遠くてコストがかかりすぎたりすれば,その魚を対象とする漁業は成立しない。魚をはじめ水生生物は一般に,季節的にまた成長段階に応じて大なり小なり回遊をするので,人間にとって採捕につごうのいい水域に,漁獲対象となる魚(以後,魚で水生生物を代表させる)がある密度以上になる時期は限られることが多い。
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